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中国は第4世代原子力システムの大規模展開力でアメリカの10年~15年先を行く「事実上の核技術の世界的リーダー」になっている可能性が高い


アメリカの公共政策シンクタンクであるInformation Technology and Innovation Foundation(ITIF:情報技術イノベーション財団)が公開したレポートで、中国が世界有数の原子力推進国となっており、2030年代から商用展開される見込みとなっている第4世代原子力システムの展開力の点でアメリカの10年~15年は先を行っている可能性があることが報告されています。

How Innovative Is China in Nuclear Power? | ITIF
https://itif.org/publications/2024/06/17/how-innovative-is-china-in-nuclear-power/


2023年8月、マサチューセッツ工科大学の核科学・工学教授であるヤコポ・ボンジョルノ氏はCNBCの取材に対し「中国は現在、核技術における事実上の世界的リーダーである」と答えました。

ボンジョルノ教授の言葉を裏付けるように、中国は国家として原子炉建設を積極的に進めており、2020年から2035年の15年間で150基の原子炉を新設する予定を立て、すでに56基が完成し、記事作成時点で27基が建設中です。このペースなら、2030年までに原子力発電所の数でアメリカを上回ることになります。

以下は2024年5月時点の原子炉の数を示したグラフで、青が稼働中、オレンジが建設中を示しています。アメリカは94基の原子炉を運用し、世界の原子力発電量の3分の1を占めていますが、原子炉新設は過去10年で2基にとどまります。


また、2023年12月から運転を開始した、山東省にある石島湾原子力発電所は次世代原子炉とされる「第4世代原子力システム」に分類されるガス冷却高速炉を採用。設備の93.4%が国産だと国家エネルギー局は発表しています。

世界初の第4世代原子力発電所、山東省で商業運転開始(中国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/12/62b76e4c0ce43fd5.html


ITIFによると、国営の中国広核集団(CGN)や中国核能電力(CNNP)だけが技術に優れているというわけではなく、低金利での資金調達や固定価格買取制度などを含む幅広い支援制度により、国として原子力関連技術を奨励する首尾一貫した姿勢により技術革新が進んだものとみられており、コスト競争力に優れた小型モジュール炉(SMR)の開発や展開でも世界をリードしています。

ITIFは業界アナリストによる分析として「核融合技術でアメリカと中国の技術開発は同程度にある」としつつ、技術的に核融合が可能になった場合の拡大展開の段階では中国が有利だという見方を示しました。


特許の面でも、2008年から2023年にかけて、原子力関連の特許で中国の占める割合は1.3%から13.4%へと増加しており、特に、核融合特許の出願件数は中国がトップだとのこと。

なおITIFは、アメリカがリーダーの座を取り戻すためには、首尾一貫した国家戦略と政府全体のアプローチ、新しい核技術への支援、先進的原子炉実証プログラム(ARDP)や原子力規制委員会への資金と人材の増員などが必要になると提言しています。

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in メモ, Posted by logc_nt

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