メモ

作品に隠された「イースターエッグ」は読者にとってだけではなく作者にとっても魅力的であるという指摘


作品とは直接関係ない小ネタや他の作品への言及など、ゲームや小説に仕込まれたイースターエッグは、気付いたユーザーを楽しませたりファンをより夢中にさせたりする効果があります。作品中のイースターエッグは「伏線」や「作中の謎」を仕込むこととどう違うのか、そしてイースターエッグが読者および作者にどのような効果を与えるかについて、コロンビア大学でクリエイティブ・ノンフィクションの博士号を取得した作家のJ・ニコル・ジョーンズ氏が語っています。

The Thrill of Discovery: How Hidden Messages Make Fiction Fun ‹ Literary Hub
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イースターエッグとはもともとキリスト教の復活祭で子どもたちが装飾したタマゴを探し出す遊びから来ています。転じて、ゲームやソフトウェアなどの中に隠されたおまけ要素のことをイースターエッグと呼ぶようになりました。イースターエッグの始まりは1980年の「Adventure」というゲーム。作家や芸術家のように作品に署名することが少なく、当時劣悪な扱いを受けていたというゲームデザイナーが、たどり着くのがかなり難しい秘密の部屋に「Created by Warren Ribinett」と表示されるようにしたのが世界初のイースターエッグだと言われています。

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イースターエッグはゲームやソフトウェア、検索エンジンなどでもしばしば見られますが、小説でも同様の要素が織り込まれることがあります。例えば、イタリアの国民的作家で「文学の魔術師」と呼ばれるイタロ・カルヴィーノの「木のぼり男爵」という作品には、レフ・トルストイの有名な小説「戦争と平和」の登場人物とみられるアンドレイ・ボルコンスキー公爵が登場します。ボルコンスキー公爵が登場することは、ストーリーや舞台設定になんら影響を与える目的ではありませんが、ジョーンズ氏は「偶然友人に出会ったときと同じような、つながっている世界に属しているという心地よさがあります」とイースターエッグとしての魅力を述べています。


この「心地よさ」こそがイースターエッグの特徴だとジョーンズ氏は指摘しています。例えば、同じようにボルコンスキー公爵を作品に登場させる場合でも、「戦争と平和」の時代と同じであることを示す目的であったり、あるいは「戦争と平和」でボルコンスキー公爵が感じた苦悩と同じ状況にいることをほのめかす目的であったりと、文学的な意図を含む書き方が考えられます。同じ知識やアイデアを持つ人々をとある目的地へ導くという意味では同様ですが、ジョーンズ氏によると、イースターエッグの場合は「つながりを感じさせる」こと自体に意味があるそうです。

「執筆は、長期間にわたる孤独な行為のように感じられることがあります」とジョーンズ氏は述べています。そのため、イースターエッグは読者に向けた秘密のパズルであると同時に、作者が「自分の作っているものと自分とのつながりを感じることができる」ものであり、執筆の原動力にもなります。作者はイースターエッグによって作品への向き合い方が孤独ではなくなり、読者が仮にその情報に気付いた際には隠された秘密へたどり着いたことへの喜びを感じるという両者にとっての恩恵があるというわけ。


イースターエッグは隠されたまま発見されないことも多くあります。作者が直接言及することもあれば、ユーザーや読者が気付いて考えを巡らせることもあるはず。いずれの場合でも、世界初のイースターエッグを作ったRobinett氏が「ゲームの箱にクレジットとしてRobinett氏の名前が書かれない」「ゲームが売れても社内で評価されない」といった不満からゲーム内に自分の名前を仕込んだように、イースターエッグは仮に作品と関係ない描写でも作者と世界、読者と作者につながりを与え、孤独感から解放させてくれる効果があるとジョーンズ氏は語っています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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