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OpenAIの社内文書から退職する従業員への「攻撃的戦術」が判明、アルトマンCEOは謝罪

by steamXO

OpenAIが退職した従業員に対して、「OpenAIに対する批判をしない」ことを求める書類への署名を求め、署名を拒否した場合には既得の株式を放棄するように迫っていたことが報じられました。この報道を受けてサム・アルトマンCEOら幹部は謝罪し、OpenAIは事態の改善に乗り出しています。

OpenAI NDAs: Leaked documents reveal aggressive tactics toward former employees - Vox
https://www.vox.com/future-perfect/351132/openai-vested-equity-nda-sam-altman-documents-employees


aestas_reduced.pdf
(PDFファイル)https://s3.documentcloud.org/documents/24679729/aestas_reduced.pdf


海外メディアのVoxが2024年5月18日に、OpenAIを退職する従業員が署名を求められる書類に、「会社に対する誹謗中傷禁止」の条項が含まれていたと報じました。Voxが入手した書類には、「退職する従業員がこの書類への署名を拒否した場合、あるいは書類に違反してOpenAIを批判した場合、在職中に獲得したすべての既得権益を失う」という条項が記されていました。

OpenAIのスーパーアライメントチームに所属していた元従業員のダニエル・ココタジュロ氏は、インターネットフォーラムで「はっきりいうと、入社時に署名したことがあるので、まだ完全に自由に話せるわけではありません(守秘義務が残っています)が、退職時に追加の義務を負うことはありませんでした。私が手放した株式がどれだけの評価額なのかはわかりませんが、少なくとも私の家族の純資産の85%くらいにはなったと思います。でも私たちはうまくやっていますから、どうか心配しないでください」とコメント。さらに「私は将来的に会社を批判する能力を維持したいと思っていました」と語り、退職時に書類への署名を拒否したことを明らかにしました。


この報道を受け、アルトマンCEOはX(旧Twitter)で「私たちは、誰かの既得権益を奪い返したことは一度もありませんし、離職協定に署名しない、あるいは誹謗中傷禁止条項に同意しない場合でも、そうすることはありません。既得権益は既得権益であり、それだけです。以前の退職書類には、株式の取り消しの可能性に関する条項がありました。私たちは何も取り戻しませんでしたが、いかなる書類にもそのようなことは記載すべきではありませんでした」と述べ、報道された書類の存在を認めた上で謝罪。さらに、このような書類にサインした元従業員がいれば連絡してほしいと呼びかけました。


また、OpenAIの最高戦略責任者(CSO)であるジェイソン・クォン氏は従業員に宛てたメッセージの中で、「誹謗中傷禁止条項は2019年頃から退職書類に追加されていましたが、チームはおよそ1カ月前にこのことを把握しました。把握するまでこれほど時間がかかったというのは私の責任です」と述べています。


しかし、VoxはアルトマンCEOやクォンCSOの謝罪について、状況を改善するための取り組みが不十分であると批判。さらに、アルトマンCEOが知らなかったはずはないと指摘しています。

Voxによると、問題の退職書類にはクォンCSOとOpenAIの人事担当ヴァイスプレジデントであるダイアン・ユン氏の署名が記されていたとのこと。さらにOpenAIの株式を管理する持株会社の設立書には「元従業員から株式を回収する、あるいは株式の売却を阻止する権限を与える」旨が含まれており、この設立書には2023年4月10日付けでアルトマンCEOの署名があったそうです。このことからVoxは、誹謗中傷禁止条項について知らなかったというアルトマンCEOやクォンCSOの主張は疑わしいとしています。


その後、OpenAIはVoxに宛てたメールの中で、「私たちは退職プロセスについて重要な更新を行っています。退職書類に署名しなかった場合でも、既得権益を取り上げることはありませんし、今後も取り上げることはありません。私たちは一般の退職書類から誹謗中傷禁止条項を削除し、誹謗中傷禁止条項が相互同意のものでない限り、元従業員をこれまでの義務から解放します。私たちはこのメッセージを元従業員に伝えます。今回の件は当社の価値観や目指す企業像を反映していません」という声明を発表し、すでに元従業員に連絡を取っていることを明らかにしました。

Voxは、OpenAIが具体的な措置を明らかにしたことについて、「アルトマンCEOやクォンCSOが謝罪した時から大きく前進したと思います」と評価しています。その一方で、この問題の根本的な解決のためには経営陣がこのような方針について責任を認め、二度と同じ過ちを繰り返さないことを約束する必要があると主張しました。

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in メモ, Posted by log1i_yk

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