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ジミ・ヘンドリックスはギタリストとしてだけではなくエンジニアとしても優秀だった


1960年代に活躍したロックギタリストのジミ・ヘンドリックスはロック史上最高のギタリストとして高い評価を受けていますが、エンジニアのロハン・S・プラニック氏が「ヘンドリックスはロックギタリストだけでなく、音響システムエンジニアとしても革新的な存在だった」というコラムをIEEEに寄稿しています。

Jimi Hendrix's Analog Wizardry Explained - IEEE Spectrum
https://spectrum.ieee.org/jimi-hendrix-systems-engineer

弦を弾いて響かせるギターは音量が不足しがちでしたが、金属弦の振動を磁石とコイルで拾う電磁ピックアップの登場によってその問題は解決されました。しかし、エレキギターはアタックが強く減衰が早いため、今度は「音の持続(サステイン)が難しい」という問題が浮上しました。

ヘンドリックスが狙ったのは、ギターの音の時間変化と音色の両方を声のように感じられる方向へ作り替えることでした。ヘンドリックスはつまみの操作だけに頼るのではなく、手足の動きや身体の位置、増幅段の調整を組み合わせた、動的なアナログ・シグナル・チェーンを構築することでこの課題を克服しました。


1967年2月3日、ジミ・ヘンドリックスはイギリスのロンドンにあるオリンピック・スタジオに入り、新しいコンポーネントを用いたレコーディングを開始しました。この時レコーディングされたのがヘンドリックスの代表曲と名高い「Purple Haze」です。

The Jimi Hendrix Experience - Purple Haze (Official Audio) - YouTube


「Purple Haze」のレコーディング時のセットアップは詳しく記録されており、音響エンジニアのロジャー・メイヤーやエディ・クレイマーのインタビューなどでも詳細が語られています。

ギターは抵抗値6kΩ、インダクタンス2.5Hのピックアップを持っていました。「Fuzz Face」は2つのトランジスタを使用したフィードバック増幅器で、正弦波をほぼ矩形波の「ファズ」サウンドに変換して歪みを生み出します。


さらに「Octavia」と呼ばれるエフェクターは、ヘンドリックスとメイヤーが制作したもので、「整流器の仕組みを応用して信号の周波数を実質的に2倍にすることで、1オクターブ上げた音を重ねる」というものでした。


また、「ワウペダル」とも呼ばれた「VOX Wah」は300ヘルツ(Hz)から2キロヘルツ(kHz)の間をスイープするバンドパスフィルターで、ギターの音を話し声のような質感にするエフェクターの一種。ペダル型になっていて、足で踏むことでリアルタイムで音色を換えられるのが特徴です。


以下のライブ映像では、ヘンドリックスが冒頭部分でこのワウペダルを踏みながら演奏する様子を見ることができます。

The Jimi Hendrix Experience - Voodoo Child (Slight Return) (Live In Maui, 1970) - YouTube


くわえて、「Purple Haze」のレコーディングでは使われませんでしたが、他のレコーディングでは「Uni-Vibe」というペダルも使われています。これは低周波発振器(LFO)が可変位相ネットワークを変調するシステムで、音楽的にはサウンドに流動的な動きと空気感を与える効果がありました。


Uni-Vibeを使うと以下の演奏のように、ギターの音に揺らぎとうねりが加わります。

Star Spangled Banner (Live at The Woodstock Music & Art Fair, August 18, 1969) - YouTube


プラニック氏は「ヘンドリックスは、自身の身体の動きや位置、スピーカーに対する角度を調整することで、このフィードバックを精密に制御し、サウンドの重要な構成要素として操っていました」と述べ、ヘンドリックスが音響エンジニアと密に協力し、システムエンジニアのように高速な試行錯誤を繰り返すことで、わずか4年足らずの期間にギターの可能性を最大限に引き出したと高く評価しています。

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in 動画,   ハードウェア, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article Jimi Hendrix was not only a great guitar….