「チャットボットの誤回答に責任はない」と弁解していたエア・カナダに裁判所が損害賠償支払いを命令
エア・カナダのチャットボットが案内した割引料金をめぐる民事事件で、裁判所は「ユーザーに不正確な情報を与えた」として、エア・カナダに賠償金を支払うよう命じました。
Moffatt v. Air Canada - Civil Resolution Tribunal
https://decisions.civilresolutionbc.ca/crt/crtd/en/item/525448/index.do
Air Canada is responsible for chatbot's mistake: B.C. tribunal | CTV News
https://bc.ctvnews.ca/air-canada-s-chatbot-gave-a-b-c-man-the-wrong-information-now-the-airline-has-to-pay-for-the-mistake-1.6769454
エア・カナダには、親族の葬式に出席するにあたってフライトが必要になったときのために「忌引運賃」という割引が存在します。
ブリティッシュコロンビア州在住のジェイク・モファット氏は2022年11月、エア・カナダでトロント行きの航空券を予約した際、公式サイトのチャットボットから「航空券発券から90日以内に払い戻し申請を完了すれば、忌引運賃との差額を請求できる」という情報を得てました。そして早速、チケットを購入してから1週間もしないうちに、祖母の死亡証明書を添えてエア・カナダに申請を行いました。
しかし、エア・カナダはモファット氏の差額払い戻し申請を却下。納得のいかないモファット氏は再びエア・カナダに申請を行い、結局、2カ月半にわたって払い戻しは行われなかったとのこと。
エア・カナダの主張は「忌引運賃はさかのぼって適用することはできない」という内容で、チャットボットの回答とは異なるものでした。
モファット氏がスクリーンショットとして保存していたチャットボットの回答を送ったところ、エア・カナダはチャットボットが「誤解を招く回答」をしたことは認めたものの、払い戻しはなおも拒否。このため、モファット氏は法廷に訴えることにしました。
裁判所のクリストファー・C・リバーズ氏は「エア・カナダは、静的ページかチャットボットの回答かは無関係に、ウェブサイト上に記載されている情報のすべてについて責任がある」とコメントし、また、「公式サイトの情報のほうが正しい」というエア・カナダの主張を「公式サイトの情報の方がチャットボットよりも信頼性が高いという理由がわからない」と一蹴。エア・カナダに対し650.88ドル(約7万2400円)の支払いを命じました。この金額は、モファット氏が求めていた払い戻し金額に、判決前利息と手数料を加えたものに相当するとのことです。
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