メールもデータ転送サービスもない1937年に写真を有線で送信していた方法を解説したムービー
YouTubeチャンネルのCharlie Dean Archivesは、さまざまな古いムービーやテレビ番組などのアーカイブを保存・公開しています。Charlie Dean Archivesが投稿した「1930年代に写真はどのように送信されたか」という1937年のニュース映像では、当時としては画期的だった「撮影した写真を数分かけて遠隔地へ送る方法」が紹介されています。
1930s How Photographs Were Transmitted by Wire: Spot News (1937) - CharlieDeanArchives - YouTube
How were photos transmitted by wire in 1937? | The Kid Should See This
https://thekidshouldseethis.com/post/wired-photo-transmission-news-1937
ムービーは、ゼネラルモーターズのシボレー部門が送る「Spot News」という1937年のニュースコンテンツのアーカイブです。
ムービーではまず、慌ただしく働く新聞社の様子が映されています。メールもSNSもない当時、新聞に掲載する写真は現地で撮影して人間の脚で運ぶ必要がありました。
取材班は、滑走路の代わりに車から勢いを付けて飛行機を飛ばす様子を取材して撮影。
撮影した写真のネガを、ランプの光へかざしてスキャンしています。ニュースのナレーションでは、「科学と工学のあらゆる発展は、読者に最短で記事を届けるために利用されてきました。そして今、電信で写真を送信するニュース制作という『最新の奇跡』が、新聞の歴史の新時代の幕を開けました」と語っています。
筒状の機器に、画像をコピーする用紙のようなものを巻き付けます。光で黒い部分と白い部分を認識した写真を細かい線に分割し、その線を電信で送信することで、受け取り側で線を組み立てるという仕組み。
写真を遠隔地に送信する仕組みについて、ムービーでは以下の実験器具で示しています。筒に巻き付けたヒモに描いた絵は、ヒモを細い管に通して移動して、同じ太さの筒に巻き付け直すことで、同じ画像を再現することができます。これを電気的な単位で実施しているのが、電信による写真の送付というわけ。
画像送信機の中身は以下のような感じ。写真に光を当て、写真を透過した光を再度レンズを通して送信することで、透過する光の量によって写真のどこが白でどこが黒かを認識しています。
その後、レンズを通した光は光に反応する金属に照射。強い光が当たると強い電力を発し、光が弱いと電力が弱まるため、伝達する電力の大小によって写真の見た目を電話の送受信機によって伝えることができます。
全体の仕組みとしては、以下の画像左上で写し取った画像を電信によって送信し、画像下部にあるように遠隔地の電球を点灯。この電球に供給される電気の量によって濃淡を描く仕組みによって、円筒状の紙に元の写真と同じ像を焼き付けます。
伝達が終わったら、円筒からネガを取り外し、通常のネガと同じように現像。
この伝達方法が登場する前は、報道写真は飛行機や電車、船によって何時間あるいは何日もかけて運んでいました。しかし、電信による伝達で、イベント発生からわずか数分で全国へニュースを届けることが可能になりました。
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