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NVIDIAが中国専用の新しいAIチップ「H20」の予約注文を開始、価格は約180~220万円


アメリカ政府が中国へのAIチップの輸出規制を設けたことで、NVIDIAなどの半導体企業は中国へのチップ輸出を制限されています。この輸出規制を回避するため、NVIDIAは「H20」と呼ばれるグラフィックボードの販売を計画しているのですが、この予約注文がついに開始されたとロイターが報じました。

Exclusive: Nvidia's new China-focused AI chip set to be sold at similar price to Huawei product | Reuters
https://www.reuters.com/technology/nvidias-new-china-focused-ai-chip-set-be-sold-similar-price-huawei-product-2024-02-01/


New Nvidia AI GPUs designed to get around U.S. export bans come to China — H20, L20, and L2 to fill void left by restricted models | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/pc-components/gpus/new-nvidia-ai-gpus-designed-to-get-around-us-export-bans-come-to-china-h20-l20-and-l2-to-fill-void-left-by-restricted-models

NVIDIAの関係者がロイターに語った内容によると、同社はHuaweiの競合製品と同等の価格設定をしている販売業者に対して、H20の予約注文を開始しました。H20は、アメリカによるAIチップの輸出規制を回避するためにNVIDIAが開発する、中国市場向けのグラフィックボード3モデルの中で、最もスペックの高いモデルです。


H20はNVIDIAの主力AIチップであるH100や、NVIDIAが中国市場向けに販売していたものの2023年10月に輸出を禁止されてしまったH800よりも処理能力の低いグラフィックボードとなっています。匿名の関係者によると、H20のスペックは一部の主要な分野で競合製品のHuaweiのAscend 910Bよりも低くなっているそうです。

別の情報筋によると、NVIDIAは中国のH20販売代理店に対する注文価格をグラフィックボード1枚当たり1万2000~1万5000ドル(約180~220万円)に設定している模様。さらに別の関係者は、一部の流通業者がH20の価格を約11万元(約220万円)まで大幅に値引きして予約販売を開始していると語っています。なお、競合製品のAscend 910Bは12万元(約250万円)で販売されているため、H20は価格面ではわずかに有利なようです。


ロイターはNVIDIAにH20の予約注文が開始されたのか問い合わせを行っていますが、同社はコメントを控えています。

ある関係者によると、H20の販売代理店はH20が8つ搭載されたサーバーを140万元(約2900万円)で販売しているそうです。これに対して、NVIDIAが以前販売していた中国向けのAIチップであるH800が8つ搭載されたサーバーは、2023年1月時点で約200万元(約4100万円)で販売されていました。

H20の販売代理店は顧客に対して、2024年第1四半期(1~3月)にH20を少量ずつ配送開始するとアナウンスしており、H20が大量入荷できるのは第2四半期以降(4~6月)になると説明しているそうです。

アメリカ政府による規制が始まる前、NVIDIAは中国のAIチップ市場で90%以上のシェアを獲得していました。しかし、NVIDIAはアメリカ政府の輸出規制措置により、Huaweiを筆頭とした中国メーカーとの激しい市場シェア争いに直面しています。

HuaweiのAscend 910Bは記事作成時点で中国国内で入手できるAI向けチップとしては最も競争力のある製品と考えられており、アメリカ政府がAIチップの輸出規制を課したことも相まって、中国でのAscend 910B人気は急速に高まっています。中国の検索大手であるBaiduも、NVIDIA製からHuawei製のAIチップに乗り換えたことが報じられました。

BaiduがHuaweiにAIチップを発注してNVIDIA製のチップから乗り換えていることが報じられる - GIGAZINE

by simone.brunozzi

H20は当初、2023年11月に発売される予定でしたが、その計画は遅れることとなりました。H20の発売が遅れた原因は、サーバーメーカーがチップの統合に問題を抱えていたためだとウワサされています。

なお、NVIDIAはH20の他に中国市場向けにL20やL2といったチップも展開予定です。ただし、ロイターはL20およびL2の詳細情報を入手することができなかったとしており、H20・L20・L2はすべて中国市場向けの製品であるため、NVIDIAの公式ウェブサイトにはこれらの製品ページは用意されていません。

しかし、Tom's HardwareはH20・L20・L2のスペックが以下の通りになると報じています。

 HGX H20L20 PCIeL2 PCIe
アーキテクチャHopperAda LovelaceAda Lovelace
メモリ96GB HBM348GB GDDR6 w/ECC24GB GDDR6 w/ECC
メモリ帯域幅4.0TB/s864GB/s300GB/s
INT8 / FP8 Tensor296/296TFLOPS239/239TFLOPS193/193TFLOPS
BF16 / FP16 Tensor148/148TFLOPS119.5/119.5TFLOPS96.5/96.5TFLOPS
TF32 Tensor74TFLOPS59.8TFLOPS48.3TFLOPS
FP3244TFLOPS59.8TFLOPS24.1TFLOPS
FP641TFLOPSN/AN/A
RT CoreN/AYesYes
MIG最大7MIGYesYes
L2キャッシュ60MB96MB36MB
メディアエンジン7NVDEC
7NVJPEG
3NVENC(+AV1)
3NVDEC
4NVJPEG
2NVENC(AVI)
4NVDEC
4NVJPEG
TDP400W275WTBD
フォームファクタ8-way HGX2-slot FHFL1-slot LP
インターフェイスPCIe Gen5x16:128GB/sPCle Gen4x16:64GB/sPCle Gen4x16:64GB/s
NVLink900GB/sN/AN/A

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in ハードウェア, Posted by logu_ii

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