音楽配信プラットフォームはアーティストに正当な分配を行うべきとEUが提言
大多数のアーティストや作曲家・作詞家が非常に低い収入しか受け取れず収入配分が不均等になっているとして、著作権者と配信プラットフォームの多様性を確保することを求める意見を含む決議案を欧州議会が採択しました。この中で、欧州議会議員は著作権料率の設定がデジタル化以前に行われた時代遅れのものであることから、見直しが必要だと指摘しています。
Music streaming sector: EU must ensure just pay for artists and fair algorithms | News | European Parliament
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20240112IPR16773/music-streaming-sector-eu-must-ensure-just-pay-for-artists-and-fair-algorithms
EU targets music streaming platforms to ensure fair pay and visibility - The Verge
https://www.theverge.com/2024/1/17/24041343/eu-music-streaming-platform-artist-pay-europe-regulation
2024年1月17日、欧州議会は音楽配信サービスの公平性と持続可能性を確保し、文化的多様性を促進するためのEU規則を求める決議案を賛成532票、反対61票、棄権33票で採択しました。
この決議案において欧州議会議員らは、音楽配信サービスに新たなコンテンツが増加していく中でもヨーロッパの音楽作品が目立ちアクセスされるように保証するためにはEUの行動が必要だと述べ、「ヨーロッパ音楽」の枠を作るなど具体的な措置を課す可能性を「熟考」するよう求めています。
また、著作権料率の仕組みはデジタル化以前に作られたものなので改定されるべきであり、レコード会社がお金を払って放送・配信で音楽を流してもらう「ペイオラ」を非難しました。
「ペイオラ(payola)」とは「支払い(pay)」とレコードプレイヤー「Victrola」などで用いられた製品の接尾辞「ola」を組み合わせた造語。ラジオ局のDJにレコード会社が自社の音楽を流してもらうために賄賂を送っていたことを指す言葉として、1930年代に生まれました。ペイオラで楽曲を流してもらうために、アーティストは楽曲の使用料を低額あるいは無償に抑えることを強いられてきたとのこと。
このほか、配信サービスで配信数を不正操作することでアーティストへの支払いを減らそうとする試みを防ぐため、アルゴリズムとレコメンドツールの透明化の義務づけや、AI生成楽曲だと明示したレーベルの導入、楽曲にメタデータを正しく割り当てて権利者を特定することの義務づけなどが提言されています。
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