Appleの特許侵害を訴える医療機器メーカーMasimoのCEOが「Apple Watchの血中酸素濃度測定機能は信頼性が低いため使わない方が良い」と指摘

Appleが開発するスマートウォッチのApple Watchシリーズでは、一部モデルに血中酸素濃度を測定できる「血中酸素ウェルネスアプリ」が搭載されています。この機能が特許を侵害しているとして、医療機器メーカーのMasimoがAppleを訴えており、Appleは2023年に発売したApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2の販売を停止せざるを得なくなりました。渦中のApple Watchの血中酸素ウェルネスアプリについて、MasimoのCEOが「Apple Watchの血中酸素濃度測定機能は信頼性が低いため使わない方がいい」と発言したことが話題となっています。

Masimo (MASI) CEO Says Users Better Off Without Apple’s (AAPL) Pulse Oximeter - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-01-18/masimo-ceo-says-users-are-better-off-without-apple-s-oxygen-tool

Masimo claims Apple Watch's blood oxygen feature is unreliable
https://9to5mac.com/2024/01/18/masimo-apple-watch-blood-oxygen/

Masimoの訴えにより、AppleはApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2から血中酸素ウェルネスアプリを削除するというソフトウェア再設計案を規制当局に申請しており、これの承認を得られたため、2024年1月18日からオンラインと実店舗の両方でApple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2の販売を再開しています。

Apple Watch Series 9とApple Watch Ultra 2の販売がアメリカで再び禁止に、しかしAppleは血中酸素濃度測定機能を削除して販売を継続予定 - GIGAZINE

Masimoのジョー・キアニCEOは、Bloombergのインタビューの中で血中酸素ウェルネスアプリについて「信頼性の高い医療用パルスオキシメーターに偽装した」と批判しました。同氏は「Appleは消費者に提供しているものを、実際にはそうではないにもかかわらず、信頼性の高い医療用パルスオキシメーターであるかのように装っています」「消費者はApple Watchの血中酸素ウェルネスアプリがないほうがいいと心から感じているはずです」「血中酸素濃度は継続的に測定しなければ役に立ちません」などと述べ、Appleを批判しています。

なお、Apple Watchの血中酸素ウェルネスアプリは2020年に追加された機能で、Apple Watch Series 6、Apple Watch Series 7、Apple Watch Series 8、Apple Watch Ultraといったモデルでも利用可能です。2021年にサンパウロ大学が公開した研究ではApple Watchの血中酸素ウェルネスアプリと市販のパルスオキシメーターが比較されており、Apple Watchがより優れた測定値を表示することがあることがわかり、全体的にかなり正確な測定値を弾き出すと結論付けられました。

2022年に公開された別の研究では、Apple Watchの血中酸素濃度測定センサーとMasimoのパルスオキシメーターであるRadical-7が比較されており、測定値が非常に類似していると結論付けられています。

そんな血中酸素ウェルネスアプリの使い方は以下の記事にまとめられています。

「Apple Watch Series 6」で血中酸素濃度を測定できる「血中酸素ウェルネスアプリ」の使い方まとめ - GIGAZINE