AppleのVision ProはWi-Fi 6E・Wi-Fi 7・Ultra WidebandをサポートしないことがFCCへの提出書類で判明
Appleが開発した「空間コンピュータ」の「Vision Pro」が、無線通信規格のWi-Fi 6EおよびWi-Fi 7に対応していないことが連邦通信委員会(FCC)への提出資料より明らかになりました。
Apple . Apple Vision Pro A2117 FCC ID BCGA2117
https://fccid.io/BCGA2117
Apple Vision Pro appears to lack Ultra Wideband and the latest Wi-Fi used in Macs - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2024/01/16/apple-vision-pro-uwb-wifi-6e-7/
Apple Vision Pro Lacks Wi-Fi 6E Support - MacRumors
https://www.macrumors.com/2024/01/16/apple-vision-pro-lacks-wi-fi-6e-support/
Wi-Fi 6Eは、Wi-Fi 6規格の機能を拡張(Extend)して6GHz帯に対応させたもので、より高速な無線通信と信号干渉の低減を実現します。Wi-Fi 7はさらに対応周波数帯域幅を拡大させ、理論上はWi-Fi6/6Eの4.8倍の通信速度を実現。こうした高速通信とレイテンシの大幅な削減により、AR/VR/MRコンテンツといった高速・低遅延が求められる分野へ大きなアドバンテージをもたらすとして期待が込められています。
ところが、2023年にAppleが大々的に発表した「Vision Pro」は、Wi-Fi 7どころかWi-Fi 6Eにすら対応していないことが明らかになりました。
FCCに提出された資料によると、Vision ProはWi-Fi 6対応で、利用可能な周波数帯は2.4GHz帯と5GHz帯のみ。さらにWi-Fiよりはるかに広い帯域を使って高速通信を実現するUltra Widebandにも対応していないそうです。
Vision Proは2024年2月2日発売予定となっていますが、2023年に発売されたiPhone 15 ProシリーズやMac製品のほとんどがWi-Fi 6Eに対応していることを鑑みると、「なぜより新しく高価なデバイスが対応していないのか」という疑問がユーザーから上がることが予想できます。
ただ、Apple専門メディアの9to5Macによると、Vision Proに搭載されているAppleのシリコンはM2チップを中心に開発されたもので、iPhone 15 Proなどに搭載されているM3チップはVision Proの完成より後に登場したものだったため、Wi-Fi 6E非対応という仕様は予想できたものだったとのこと。今回のFCCへの資料は、こうした推測を裏付けたものだったそうです。
AppleはまだVision Proの完全な技術仕様を公開していないため、入手できるのは限られた詳細情報のみ。M2チップ、カメラとマイクの入力を処理する全く新しいR1チップ、256GBの基本ストレージが搭載されていることがわかっていて、テック系メディアのMacRumorsによると16GBのRAMも搭載しているそうです。
Vision ProはVRとARの両方を楽しむことができるMRゴーグルを主体とした製品で、Apple TV+などのストリーミングサービスを見たり、仮想空間に風景を投影したりすることができます。価格は3499ドル(約51万5000円)と高額。発売日は2024年2月2日で、現地時間の2024年1月19日(金)5時から予約受付が始まります。
・関連記事
Appleの「Vision Pro」海外レビューまとめ、「これまでのVR・AR・MRヘッドセットの中で群を抜いて最高」という評価も - GIGAZINE
次世代Wi-Fi規格「Wi-Fi 7」が持つ目玉機能とは?旧規格と比べて何が優れているのか? - GIGAZINE
Wi-Fi 6より最大4.8倍高速なWi-Fi 7は2024年3月末までに利用可能に - GIGAZINE
Appleの「Vision Pro」の発売日が2月2日に決定、ストレージは256GBで価格は50万円超 - GIGAZINE
AppleはApple Vision Pro用のアプリを「ARアプリ」や「VRアプリ」ではなく「空間コンピューティングアプリ」と呼ぶよう開発者に求めている - GIGAZINE
AppleはVision Proの販促セールストークに注力しており最長25分間のデモも準備している - GIGAZINE
・関連コンテンツ