MicrosoftがOpenAI理事会の議席を得る可能性が浮上

by TechCrunch

OpenAIが2024年3月8日に、一度は追放したサム・アルトマン氏を再び理事会に迎えることを発表しました。また、アルトマン氏の追放自体は妥当な理由があったものの、解任せざるを得ないほどの理由ではなかったとする内部調査の結果も報告しました。

OpenAI announces new members to board of directors
https://openai.com/blog/openai-announces-new-members-to-board-of-directors

Review completed & Altman, Brockman to continue to lead OpenAI
https://openai.com/blog/review-completed-altman-brockman-to-continue-to-lead-openai

OpenAIは2023年11月17日に、当時CEOを務めていたサム・アルトマン氏を解任したことを発表しました。その理由について、理事会は声明で「アルトマン氏は理事会とのコミュニケーションが一貫して誠実ではなく、理事会の責任を果たす能力に支障があるとの結論に達しました」と説明しています。アルトマン氏の解任を受けて、グレッグ・ブロックマン社長も辞職を表明しました。

AI開発企業・OpenAIのサム・アルトマンCEOが退任、暫定CEOにミラ・ムラティCTO - GIGAZINE

OpenAIの顔であったアルトマン氏の電撃的な追放は、OpenAIの内外に大きな波紋を投げかけました。OpenAIと提携しているMicrosoftのサティア・ナデラCEOは11月20日に、アルトマンら元OpenAIメンバーをMicrosoftに迎える意向を表明。OpenAIの従業員らは、理事会に宛てた書簡で、アルトマン氏の復帰と理事会の役員全員の辞任を要求し、希望が通らない場合はMicrosoftに移籍すると訴えました。

数日間にわたって業界を騒然とさせた混乱は、最終的にアルトマン氏およびブロックマン氏の復帰と理事会の刷新によって終息しました。

OpenAIのCEOにサム・アルトマンが復帰し理事会のメンバーも刷新 - GIGAZINE

by TechCrunch

そして、OpenAIは2024年3月8日に、すでにCEOとしてOpenAIに復帰していたアルトマン氏を改めて理事会に迎えるとともに、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の元CEOであるスー・デズモンド・ヘルマン氏、ソニーの元副社長兼法務顧問であるニコール・セリグマン氏、アメリカの食料配達サービス・InstacartのCEO兼会長であるフィジー・シモ氏の3人を新しく理事会に加えることを発表しました。

これにより、OpenAIの理事会は現理事会のメンバーであるアダム・ダンジェロ氏、ラリー・サマーズ氏、ブレット・テイラー氏の3人に、アルトマン氏と新任の理事3人を加えた7人体制となります。

同日、OpenAIは国際法律事務所・WilmerHaleに委託していた、アルトマン氏解任をめぐる事実調査の概要を公開しました。調査に際し、WilmerHaleは3万件以上の文書を精査し、当時の理事会のメンバーに対するものも含む数十件の面談を実施して、解任の経緯や是非を評価したとのこと。

調査報告の中で、WilmerHaleは当時の理事会とアルトマン氏との間にある信頼関係の崩壊が解任を招いたと指摘した上で、11月17日に理事会が発表した声明は、解任の決定とその根拠を正確に述べたものだと結論づけました。つまり、「アルトマン氏が一貫して誠実ではなかった」とする理事会の説明を認めた形となります。

その一方で、当時の理事会はアルトマン氏の解任が会社を不安定化させることを想定していなかったことが、調査で浮き彫りになりました。またWilmerHaleは、主要な利害関係者への事前通知や十分な調査、アルトマン氏が理事会の懸念に対処する機会の付与を経ることなく、短縮された期限で解任が決定されたとした上で、「アルトマン氏の行為は解任を余儀なくするものではなかった」と認定しました。

この調査結果を受けて、OpenAIが設置した特別委員会はアルトマン氏とブロックマン氏を再び登用するという11月21日の決定を支持するよう理事に勧告するとともに、両氏のリーダーシップに全幅の信頼を置くことを表明しました。

アルトマン氏はX(旧Twitter)への投稿で、「新理事会メンバーのフィジー・シモ氏、スー・デスモンド・ヘルマン氏、ニコール・セリグマン氏を迎え、ブレット、ラリー、アダムと引き続き一緒に仕事ができることを大変嬉しく思います」と述べるとともに、「私はこの経験から多くのことを学びました。今にして思えば、以前の理事会のメンバーの行いがOpenAIに害を及ぼしていると考えた時、私はその状況をもっと柔軟かつ慎重に扱うべきでした」と振り返りました。