赤ワインを飲むと頭痛がする人がいるのはなぜなのか?
ビールや日本酒を飲んでも頭は痛くならないのに、なぜか赤ワインを飲むと頭痛がしてしまうという人がいます。なぜ赤ワインの摂取で頭痛が起こるのかを調べた研究により、赤ワインに含まれるケルセチンという物質がアルコールの適切な代謝を妨げ、頭痛を引き起こしている可能性が示されました。
Inhibition of ALDH2 by quercetin glucuronide suggests a new hypothesis to explain red wine headaches | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-023-46203-y
Why do some people get headaches from drinking red wine? | ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2023/11/231120124135.htm
ケルセチンはブドウやその他の果物、野菜に含まれている物質で、健康によい抗酸化物質とされ、関連するサプリメントなども販売されています。しかし、ケルセチンをアルコールと一緒に摂取すると、体内でケルセチングルクロニドと呼ばれる物質が生じ、これがアセトアルデヒドを分解する酵素「2型アルデヒド脱水素酵素」の働きを阻害してしまいます。アセトアルデヒドが分解されずに体内に蓄積すると、顔面紅潮や頭痛、吐き気を引き起こします。
カリフォルニア大学のアプラミタ・デヴィ氏らがさまざまな物質を調査した結果、上記ケルセチングルクロニドに関連した物質が2型アルデヒド脱水素酵素の働きを最も阻害する物質であることが確かめられました。
ケルセチンはさまざまなワインに自然に含まれていて、赤ワインのケルセチン含有量は白ワインのケルセチン含有量よりも多いとする先行研究も報告されているとのこと。また赤ワインでも種類ごとに含有量が違い、生産過程でブドウの房を太陽光に多く露出させたものほど含有量が多く、さらに熟成過程や製造工程によっても差が生じてくるそうです。
研究に携わったモリス・レヴィン氏は「ケルセチンを一定量含むワインを感受性の高い人が摂取すると頭痛が発生すると推測しています」と述べました。
研究者によれば、赤ワインによる頭痛の原因についてはまだ不明な点が多く、人によって頭痛が起きやすい人と起きにくい人がいる理由などがわかっていないそうです。研究者らは、頭痛を発症した人を対象に科学的に検証する必要があるとのコメントを残しています。
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