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大英図書館は国内で出版されたすべての本をどのように所蔵・管理しているのか?


イギリスで本や雑誌、新聞を出版する場合には、その本やコピーを国に提出することが法律で義務づけられています。そのため、イギリスのロンドンに本館を置く国立の図書館である大英図書館には、国内のほぼすべての出版物が所蔵されています。合計約1億7000万点あるコレクションをどのように保管・管理しているのかという内部や大英図書館の取り組みについて、科学や歴史などのトピックに関するムービーを投稿するYouTuberのトム・スコット氏が潜入してレポートしています。

This library has every book ever published. - YouTube


大英図書館の正門はこんな感じ。


大英博物館に寄贈される本の管理等を専門とする部署の部長を務めるリンダ・アーノルド=ストラトフォード氏によると、大英図書館では「印刷物」と呼ぶことができるあらゆるものを収集しているそうです。本や新聞だけではなくチラシ、限られた地方でのみ発行される雑誌、数千ポンド(20万円以上)するアートブック、子ども向けのおもちゃと一緒に並んでいる小さな本まで、すべてを含んでいます。


以下の画像中央にあるのが大英図書館。右側には「ハリー・ポッター」シリーズでホグワーツ魔法魔術学校への列車が出る9と4分の3番線があるキングス・クロス駅が写っています。大英図書館の土地は広く、その地下には膨大な量の本が所蔵される保管庫がありますが、その範囲でもすべての本は収まり切りません。また、ロンドンは土地が高く、新しく増築することは困難です。そのため、大英図書館には閲覧リクエストの多い数百万冊のみが保管されています。


そこで、約1億7000万点あるコレクションのうち大半は、イギリス北部にあるウェスト・ヨークシャーに設置された保管庫に所蔵されています。


大英図書館のコレクションの大半は法律に従って送付されるコピーですが、小規模な出版社や、自分が出版元だと想定していない個人のクリエイターなどは、法定の寄贈を行わないことも多くなっています。大英図書館で現代の出版物を担当する部署の部長を務めるイアン・クック氏によると、あらゆる本を収集するための活動として、自費出版を行うクリエイターや作家、その他あらゆる種類の団体に働きかけ、作品が大英図書館に保存されることの重要性を伝えるため努力をしているそうです。


ウェスト・ヨークシャーにある保管庫の内部は以下のような感じ。合計で700km以上にわたって棚が並んでおり、ロボットが本の配置を管理して出し入れをしています。保管庫は低酸素の状態に保たれ、本が劣化しにくい環境が作られています。保管庫の棚は年間8kmのペースで消費されており、次の保管庫の建設も開始されているとのこと。


保管庫にある本を閲覧したい場合、48時間以上前に予約注文する必要があります。保管庫のロボットは最高時速50kmで保管庫内を移動し、目的の本を探しだします。


本は10~20冊をまとめたケース単位で保管されており、注文があった本が含まれるケースをロボットが取り出します。注文が多い本は手前に配置されるようになるなど、位置は固定されず変化しています。


毎日数千冊以上の本やその他出版物が、トラックに積まれて大英図書館と保管庫を行き来しています。


さらに、大英図書館ではウェブページの保存にも力を入れており、誰かがブログや自身のウェブサイトを作成した際には、大英図書館のウェブアーカイブに保存するよう働きかけています。その量はかなり膨大で、クック氏によると、ファイル数にして10億以上、約1.5ペタバイトのデータ量に相当するとのこと。


大英図書館では本を借りて持ち帰ることはできません。注文した本は、閲覧室の中でのみ読むことが可能で、その日のうちに返却する必要があります。以前は、大英図書館で図書館カードを取得するためには「なぜ地元の図書館や大学の図書館から必要な本や資料をゲットできないのか?」という質問に回答する必要がありましたが、現在ではその要件は撤廃され、比較的簡単に図書館カードを取得することができます。


ストラトフォード氏は、企業、個人にかかわらず大英図書館へ出版物を提供することが法律で強制されていることについて、「50年後、何が重要になるかは今はわかりません。そのため、すべてを保管しておく必要があるのです」と活動の重要さを語っています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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