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Facebookの内部がいかに腐敗しているかがよくわかる元従業員による告発本「Careless People」の衝撃的な中身とは?


Facebook(現Meta)の元幹部であるサラ・ウィン=ウィリアムズ氏が同社のグローバルポリシーを担当した数年間を赤裸々に綴った告発本が「Careless People: A story of where I used to work」です。Metaが「誤った非難がなされている」として宣伝や出版の中止を求めている、その書籍の衝撃的な内容の一部を活動家でジャーナリストでもあるコリー・ドクトロウ氏が紹介しています。

Pluralistic: Sarah Wynn-Williams’s ‘Careless People’ (23 Apr 2025) – Pluralistic: Daily links from Cory Doctorow
https://pluralistic.net/2025/04/23/zuckerstreisand/

ドクトロウ氏は、「Facebookで役職に就き、変化を起こせると信じていた友人が何人かいます。そのうち3人はウィン=ウィリアムズ氏の告発本に実際に登場しました。そのため、Facebookが企業としていかに悪夢のような状況にあるのかは、よくわかっています」と記しています。


しかし、ウィン=ウィリアムズ氏はドクトロウ氏の周りにいた人々よりも、Facebook上層部の重要人物であるマーク・ザッカーバーグCEO、シェリル・サンドバーグ氏、ジョエル・カプラン氏の3人と親しかったそうです。公の場での発言や行動から、ドクトロウ氏はこの3人に対して嫌悪感を抱いていたそうですが、ウィン=ウィリアムズ氏の告発本を読み、この3人を「卑劣を通り越した存在」と認識するようになったと記しています。

ザッカーバーグCEOは幼稚な男の子のような存在で、部下は同氏とボードゲームで遊ぶ際は、わざとザッカーバーグCEOを勝たせるようにプレイしていたそうです。ウィン=ウィリアムズ氏も、プライベートジェットの中でチケット・トゥ・ライドをプレイすることになった際、「ズルをした」と非難されたと自身の告発本で記しています。

サンドバーグ氏は自分の子どもが将来腎臓を必要とする場合に備え、メキシコの誰かから腎臓を購入する権利を要求していたそうです。

そして、カプラン氏は「とてつもなく愚かで、とんでもない間抜け」と、ドクトロウ氏は評しました。Careless Peopleには、ウィン=ウィリアムズ氏がザッカーバーグCEOに国連総会で演説する機会を与えた際のエピソードが記されています。この演説でザッカーバーグCEOは「Facebookが世界中の難民にインターネットアクセスを提供する」と約束したのですが、これはザッカーバーグCEOの口から出まかせだった模様。そこで、FacebookはザッカーバーグCEOの口から出まかせを実現するため模索し始めたそうですが、カプラン氏が介入し「難民に無料でインターネットを提供するのはよくない、むしろ難民にインターネットアクセスを売るべきだ」と主張したそうです。結局、カプラン氏がプロジェクトチームに「難民にはお金がないことに気付いた」とメールを送り、プロジェクトは頓挫しています。


ウィン=ウィリアムズ氏がFacebookの重要人物と関わることになった経緯は、非常に奇妙ですが、「むしろ魅力的でもある」とドクトロウ氏は記しています。若い頃、ウィン=ウィリアムズ氏はニュージーランド外交団の外交官として働いていました。その中で、Facebookが持つ世界的な政治的・社会的可能性に心を奪われていったウィン=ウィリアムズ氏は、Facebookのグローバルチームに採用され、世界各国の政府機関と連携戦略を練るというプロジェクトに身を投じることとなります。

しかし、当時のFacebookにはこのような職は存在しなかったそうです。Facebookはアメリカ政府に対するロビー活動は行っていたものの、世界全体、特に各国政府に対しては極めてこの種の活動を行なうことには非常に無頓着だったそうです。そこで、ウィン=ウィリアムズ氏は関係のありそうな幹部に何度も要望を送ったり、友人の友人にも働きかけたりすることで、政府機関との折衝役を設けるべきだと主張を続けた模様。

そんな時、ニュージーランドのカンタベリーでクライストチャーチ地震が発生します。この時、ウィン=ウィリアムズ氏はアメリカで飛行機に乗ろうとしていたそうで、倒壊した建物に閉じ込められたニュースキャスターの姉(ニュージーランド在住)の安否を、姉のFacebookへの投稿で初めて知ることになったそうです。この経験がウィン=ウィリアムズ氏のFacebookに対する思いを、宗教的なまでの熱狂へと変貌させます。この熱意のもと、ウィン=ウィリアムズ氏はFacebookで働くために全力を尽くし、見事にグローバルポリシー担当幹部という職を得ることに成功したそうです。


Facebookで働き始めた初期、ウィン=ウィリアムズ氏は軍事政権によるFacebookブロック命令が下さたミャンマーに派遣され、通信省の手の者に誘拐され投獄されそうになったことがあります。ウィン=ウィリアムズ氏はニュージーランドのジョン・キー首相の公式訪問を手配した際には、ザッカーバーグCEOからキー首相との写真撮影をリクエストされたそうです。この時、ザッカーバーグCEOはキー首相が目の前に立っていることに気づかず、ウィン=ウィリアムズ氏に「馬鹿な政治家と会え」と叱責したエピソードなどが記されています。

確かなことは、Facebookがアメリカ以外の国を全く気にかけていなかったことです。ウィン=ウィリアムズ氏はこれについて、「昔ながらの地方主義のせい」であり、Facebookの幹部はこの傾向を強く持っているせいだと記しています。

その後、Facebookがアメリカを征服したのち、ザッカーバーグCEOはついに世界へと目を向けるようになります。この時、突如アメリカ以外の国のユーザーを獲得することが急務となったそうで、ウィン=ウィリアムズ氏は一夜にして「グローバル市場について語る唯一の異端者」から「会社の最優先事項を追求する重要な資産」に変化したそうです。なお、この時の変化の原因について、ウィン=ウィリアムズ氏は「ザッカーバーグCEOの性格」、つまり常に支配欲を持つ性質にあると説明しています。


Facebookがアメリカ市場を制覇したことで、同社は海外顧客へと注力するようになりました。しかし、アメリカ市場での成長が鈍化すると、長らく海外の政治情勢に注意を払うべきだと主張してきたウィン=ウィリアムズ氏に対する批判も集まるようになります。

しかし、ウィン=ウィリアムズ氏はFacebookの成長が止まった原因は、ザッカーバーグCEOをはじめとする同社の重役の「不注意」にこそあると指摘しました。

実際、ザッカーバーグCEOは製品やサービスに関する詳細な説明を拒否したり、与えられたわずかな情報を忘れたり、正午前に起きようとしないため重要な会議を台無しにしたりと、日々ビジネスチャンスを逃し続けていると指摘。

サンドバーグ氏はダボスに訪問した際、自身のプロモーションと自著である「LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲」への執拗な執着、卑劣な駆け引きでFacebookのビジネスを台無しにしたとウィン=ウィリアムズ氏は記しています。

また、カプラン氏はGreen Dayの「American Idiot」を体現したような人物で、外国人の存在すらほとんど理解していないとウィン=ウィリアムズ氏は指摘しています。

なお、ウィン=ウィリアムズ氏はCareless Peopleの中でFacebook幹部の狭量さ、近視眼性、傲慢さなどから、度々成功目前でビジネスを失敗に追い込まれています。


この他、ウィン=ウィリアムズ氏はカプラン氏から執拗なセクハラを受け、それを止められる立場にある全員から「黙って耐えろ」と命じられたことを明かしています。ウィン=ウィリアムズ氏は第二子を出産した際、出血性ショックで昏睡状態に陥ったそうです。その後、集中治療室でカプラン氏からのメールやメッセージに反応しなかったという理由で、カプラン氏はウィン=ウィリアムズ氏に低い業績評価を下します。ウィン=ウィリアムズ氏によると、カプラン氏は他にもウィン=ウィリアムズ氏に授乳について個人的な質問をしてきたり、ベッドからビデオ通話をかけてきたり、プライベートジェットの寝室で隣に寝るよう圧力をかけてきたりしたそうです。

また、ウィン=ウィリアムズ氏はFacebookが中国政府のために、中国のFacebookユーザー、世界中のFacebookユーザーに対して使用することができる、広範な検閲・監視システムを構築していたことを明かしています。Facebookは中国政府が世界中のFacebookのあらゆる活動を監視できるように、中国に世界中のFacebookコンテンツのキャッシュを設置すると約束しました。これは中国政府がプライベートな通信を盗聴し、中国以外のユーザーのコンテンツを検閲できるようになることを示唆しています。

それにもかかわらず、Facebookは中国へのアクセスを一切許可されていません。しかし、中国政府はFacebookが中国のために構築した監視ツールを利用して、香港や台湾における独立運動、報道の自由、反体制派の蜂起を攻撃することができるそうです。


この他、Careless PeopleにはFacebookの幹部が裁判所、議会、国連、報道機関に数々のウソをついてきた事実など、数々の醜態が記されています。

なお、「Careless People: A story of where I used to work」はAmazon.co.jpの洋書の「Social Media for Business」というカテゴリでベストセラー1位となっており、ペーパーバックが税込2975円で購入可能です。

Amazon | Careless People: A story of where I used to work | Wynn-Williams, Sarah | Communication & Media Studies

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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