悲観的な人がポジティブな情報を受け入れられない「認知的免疫化」を解消するにはどうすればいいのか?
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うつ病の人には、「さっき褒められたのはどうせお世辞だろう」「今回うまくいったのはきっと偶然」という具合に、成功やいい出来事を悪い方へと解釈してしまう傾向があります。新しい研究により「認知的免疫化(cognitive immunization)」として提唱されたこの問題の対処方法について、心理学を専門とするニュースメディアのPsychology Todayがまとめました。
What’s going on in depression to make negative beliefs so sticky? | Psyche Ideas
https://psyche.co/ideas/whats-going-on-in-depression-to-make-negative-beliefs-so-sticky
What to Do When Psychotherapy for Depression Fails | Psychology Today
https://www.psychologytoday.com/us/blog/finding-a-new-home/202309/what-to-do-when-psychotherapy-for-depression-fails
2023年7月の査読付き学術雑誌・Clinical Psychology Reviewに掲載された論文で、ドイツのカイザースラウテルン・ランダウ大学の心理学者であるTobias Kube氏は、「うつ病患者はポジティブな情報、すなわち自分のネガティブな信念を否定する証拠を得ても、信念を変えないことがある」と指摘し、特に次のような場合に当てはまると論じました。
・気分が沈んでいる。
・提示された情報が極端にポジティブか、またはほんの少しだけしかポジティブではない。
・「認知的免疫化」戦略を使って新しい情報の価値を容易に下げることができる。
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認知的免疫化とは、自分の考え方や予想を維持できるように、信念と矛盾する出来事を反対の方に再解釈してしまうことです。例えば、「自分は嫌われ者だ」と思い込んでしまっている人の場合、自分に対する他の人の親切を「うわべだけ」「仕方なくやっただけ」「ただの社交辞令」と解釈してしまいます。
同様に、テストでいい点を取った人は「テストがやたら簡単だった」「採点が緩かった」「単に運がよかった」というような理由をつける可能性があります。
Kube氏の臨床研究によると、これはうつ病患者が将来の失望から自分を守ろうとしているのが原因とのこと。そのような人は、自分のネガティブな信念を肯定するような出来事、つまり失敗などを経験したことがあり、こうした経験は失望や不快感と結びつくため、それを非常に重大なものだと見なします。その結果、人は「後悔するぐらいならリスクを負わない方がいい」という姿勢を取るようになり、ネガティブな信念を軌道修正するより維持する方を選んでしまいます。
Psychology Todayは、この認知的免疫化のせいで心理療法の効果が出ないような場合の改善方法を、3つ挙げています。1つ目は、ポジティブな情報に接する際の気分を少しでも高めておくことです。気分が沈んでいると「信念の更新(belief updating)」がしにくくなるので、有酸素運動や音楽鑑賞をしたり、ペットと過ごしたりしていい出来事をそのまま受け止められるようにしておくのが重要です。
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2つ目は、情報のポジティブさを適度なレベルにすることです。これは、わずかにポジティブなだけのささいな情報は無視されやすい一方、極端にポジティブな情報は疑いやすいのが理由です。
3つ目は、ポジティブな情報の信頼性や重要性を強調したり、普通の人はそうした情報をどう捉えるのかについて話したりすることで、ポジティブな情報の価値を高めることです。
Kube氏は、「自分の否定的な信念に、しばしば無意識のうちに価値を与えていることに気づくことが、うつ病患者にとっては重要です。否定的な信念を維持することは、将来の失望から身を守ることになるように思えますが、日々の否定的な感情を永続化させることでもあります。一般的に、うつ病患者は自分の本当の能力を過小評価していることを覚えておくといいでしょう」と述べました。
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in メモ, Posted by log1l_ks
You can read the machine translated English article How can pessimistic people overcome the ….