メモ

スタートアップが陥る「悲しみの谷」から脱出するための「ポジショニング」とは?


リリースしてから一日で数万、一週間で数十万とユーザーを増やして大成功するサービスもありますが、多くの発明やサービスは、長い年月をかけて少しずつユーザーを増やします。新規性により少し注目された後にしばらく続く低迷のプロセスは「悲しみの谷」とよばれており、大企業を含めて多くの企業やサービスが経験していますが、悲しみの谷を乗り越えて成功するための方法を、エンジニアでマーケティング戦略の経験もあるヨハン・フリードナー氏が解説しています。

How To Escape The Startup Trough Of Sorrow - Briefmix
https://www.briefmix.com/startup/trough-of-sorrow


主にスタートアップ企業に対し投資を行うY Combinatorは、「スタートアップが通るプロセス」として以下のような図を示しました。IT系のスタートアップに関するニュースを配信するTechCrunchに取り上げてもらうことを「通過儀礼」として当初は伸びを見せますが、すぐに新規性が失われて長い低迷状態になります。この低迷状態が「悲しみの谷」と呼ばれており、悲しみの谷を乗り越えた先に、普及と成功が待っているとされています。


フリードナー氏がコンサルティングを担当した創業5年のスタートアップ企業でも、実質的な成長を生み出せず、競合他社も迫ってきて利益が減少する長い低迷状態がありました。その際に、「ブランドポジショニング」とコミュニケーションを変えることで、スタートアップを軌道に乗せることができたそうです。

フリードナー氏が示すブランドポジショニングとは、「何がブランドに競合他社への優位性をもたらすのか明確に示す」ということです。強みを明確に示すことは、特定の顧客に対して「私が他の誰よりも問題をうまく解決できる」と方法を伝えるコミュニケーションにつながります。


ブランドポジショニングは企業戦略の他、デザインやコピーライト、広告キャンペーンなどにも影響します。これらは永続的なものではなく、トレンドの進化によって微調整したり、場合によっては完全に変更したりする必要があります。

フリードナー氏はブランドポジショニングの例として、音楽ストリーミングサービスのSpotifyの動きを挙げています。Spotifyは月額制の聴き放題サービスか、もしくは広告付きで無料の音楽を楽しむことができます。しかし、不況や新型コロナウイルスの流行に伴い、広告主が予算を削減するケースが増えました。そこでSpotifyは、オリジナルコンテンツや厳選されたプレイリストに重点を置くことで、より成功したモデルにシフトすることに成功し、結果として有料のサブスクリプション登録者を増加させました。


ブランドポジショニングの方法論として、フリードナー氏は「調査」が最重要だと述べています。現在のトレンド、文化、消費者行動などのさまざまな幅広いカテゴリを調査して、ブランドのアイデアを構築するために使用する洞察を見つける必要があります。調査や洞察に役立つアイデアとして、フリードナー氏は「マーケティングの4つの『C』」を挙げています。

一つ目は「消費者(Consumer)」で、消費者の行動とニーズに関する重要な洞察を、完了したばかりのセグメンテーション調査から具体化する作業が必要です。二つ目は「競合他社(Competitors)」の戦略的メッセージングと取り組みをしっかり監査することで、市場の空いた場所がどこにあるのかを理解することができます。

三つ目は社会で起こっている「文化(Culture)」の変化やトレンドについて、何を使用できて、何については反対の立場を取るのが良いのか、と検討すると効果的です。四つ目は「会社(Company)」について、歴史と組織構成などを調べることで、自社の新しいポジショニングをサポートできる価値観やアイデアを確立できます。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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