Appleは極小バーコードを使用してディスプレイガラス製造の失敗を追跡し数百億円規模のコスト削減に成功
AppleはiPhoneのディスプレイをカバーするガラスに極小のバーコードをエッチングすることで、サプライヤーから廃棄された欠陥のあるディスプレイガラスの数を正確に追跡できるようにしているとThe Informationが報じています。
How a Hidden Bar Code in iPhone Screens Saved Apple Hundreds of Millions of Dollars — The Information
https://www.theinformation.com/articles/how-a-hidden-bar-code-in-iphone-screens-saved-apple-hundreds-of-millions-of-dollars
Apple hides barcodes in every iPhone screen
https://appleinsider.com/articles/23/09/29/every-iphone-screen-has-a-barcode-to-prevent-a-manufacturing-scam
Apple Uses Tiny QR Codes to Track Display Manufacturing Failures and Cut Costs - MacRumors
https://www.macrumors.com/2023/09/29/apple-displays-tiny-qr-codes/
All iPhone displays are barcoded to prevent manufacturing scams - MacDailyNews
https://macdailynews.com/2023/09/29/all-iphone-displays-are-barcoded-to-prevent-manufacturing-scams/
iPhoneのディスプレイガラスの表面にエッチング加工されているバーコードは、砂粒ほどの大きさ(0.2mm程度)で特別な機器を使用しなければ確認することはできないというものです。AppleはiPhoneのカバーガラスの製造を担当する2つのサプライヤーであるLens TechnologyとBiel Crystalで、バーコードのエッチング処理とバーコードをチェックするためのレーザースキャン装置の設置に、数億円の投資を行ったとThe Informationは報じています。
情報筋によると、カバーガラスにエッチングされたバーコードはレーザーで埋め込まれた625個のドットのマトリックスで、すべてのiPhoneで同じ場所に処理されているわけではないそうです。ただし、このバーコードのある部分からiPhoneのディスプレイが割れることなどが報告されていました。Appleは特殊な顕微鏡レンズを使用し、リングライトと組み合わせた新しいスキャン技術を利用することで、バーコードがガラスに深く刻まれ過ぎないように処理し、この問題に対処しているそうです。
カバーガラスには表と裏の2か所にバーコードが存在しており、ひとつが「欠陥のあるカバーガラスを追跡するため」で、もうひとつが「どちらの企業が供給したものか」を確認するためのものになっている模様。2つ目のバーコードの存在により、カバーガラスの成型工程のどの過程が欠陥に影響しているかを特定することにつながる可能性があります。
なお、AppleはCorning製のガラスを使用していますが、Corning製ガラスはLens TechnologyとBiel Crystalで成型されるため、これらの工場にエッチング処理設備とスキャン設備が導入されています。
このシステムを使用することで、AppleはLens TechnologyとBiel Crystalが製造したカバーガラスの正確な数を把握し、欠陥によりどれだけ材料が無駄になったかを正確に認識することが可能となります。
The Informationに情報を提供した関係者によると、バーコードが導入される前、これらのカバーガラスメーカーの廃棄率は30%だったものの、バーコード導入により廃棄率を10%まで低下させることに成功しています。Appleはこれらのサプライヤーに生産コストを支払っているため、バーコードの導入により廃棄率が下がったことで、数百億円規模のコスト削減に成功しています。
なお、Appleがディスプレイガラスにバーコードをエッチング処理するようになったのは2020年から。ただし、iPhoneの他のコンポーネント、主に金属部品はカバーガラスよりも前からバーコードを使った欠陥追跡システムが導入されています。
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