ネットサービス

安全に商用利用可能なAI画像生成サービス「生成AI by Getty Images powered by NVIDIA」をフォトストックサービスのGetty Imagesが発表


大手フォトストックサービスのGetty Imagesが、安全に商用利用可能なAI画像生成サービス「生成AI by Getty Images(powered by NVIDIA)」を発表しました。Getty Imagesの画像生成AIは、Getty Imagesが所有するクリエイティブ素材とデータのみでトレーニングされているため、画像生成AIの課題となっている権利的な問題をクリアしているとのことです。

生成AI by Getty Images(powered by NVIDIA) | Getty Images 日本
https://www.gettyimages.co.jp/ai/%E7%94%9F%E6%88%90/%E8%A9%B3%E7%B4%B0

Getty made an AI generator that only trained on its licensed images - The Verge
https://www.theverge.com/2023/9/25/23884679/getty-ai-generative-image-platform-launch

近年はAIによる高品質な画像生成サービスが台頭していますが、これらのAIをトレーニングする際に用いられた画像には、著作権で保護されたものも含まれています。そのため、AIで生成した画像には権利上の問題があるのではないかという懸念があり、企業がAI生成画像を使用するのをためらう要因のひとつとなっています。


実際、Getty Imagesは画像生成AIのStable Diffusionを開発したStability AIに対し、「Getty Imagesが所有または代理権を持つ1200万点ものコンテンツの知的財産権を侵害した」として訴訟を起こしました。

画像生成AI「Stable Diffusion」をGetty Imagesが著作権侵害で提訴、これで2回目の法的手続き - GIGAZINE


そんな中、Getty Imagesは日本時間の2023年9月26日に、大手半導体メーカーのNVIDIAと提携して開発したAI画像生成サービス「生成AI by Getty Images」を発表しました。利用者はテキストプロンプトを用いて指示を出し、画像のスタイルやアスペクト比、全体の色調などを指定することができるそうです。


「生成AI by Getty Images」はNVIDIAのカスタム機械学習モデルであるPicassoで構築されており、トレーニングにはGetty Imagesの高品質コンテンツとクリエイティブ素材ライブラリのデータのみを用いているとのこと。そのため、生成される画像は権利的な問題をクリアしており、企業は安全に商用利用することが可能。Getty Imagesは、ユーザーがAI生成コンテンツをダウンロードするごとに、「無制限の補償」が付帯すると説明しています。

なお、「生成AI by Getty Images」を利用して生成した画像がGetty Imagesのフォトストックに追加されることはないため、他のユーザーに同一画像を使用される可能性はありません。その一方で、ユーザーが使用したプロンプトや生成された画像は、「生成AI by Getty Images」のモデルのトレーニングに使用されることも明記されていました。


実際に海外メディア・The Vergeの記者であるエミリア・デイヴィッド氏は、「生成AI by Getty Images」を試して画像生成機能をテストした感想を報告しています。実際にデイヴィッド氏が「A ballet dancer, In arabesque position, On a grand stage, Background slightry blurred(バレエダンサー、アラベスクの姿勢、グランドステージで、背景はわずかにぼやけている)」というプロンプトで写真を生成した結果が以下。デイヴィッド氏は、生成された写真は予想していたよりもクオリティが高く、友人にメッセージを送ってみたところ見事にだますことができたと述べています。


その一方で、Getty Imagesはユーザーが生成できる画像に制限を設けており、「ホワイトハウスの前に立つジョー・バイデン大統領の写真」「アンディ・ウォーホルジェフ・クーンズが作った風の猫の写真」といったものは生成できないとのこと。Getty ImagesはThe Vergeに対し、モデルは現実のイベントに影響を与えないようにするため、実在する人名を基に正しい人物を生成できないようになっていると説明しました。

Getty Imagesは、「生成AI by Getty Images」の基盤となるモデルのトレーニングに使用されたコンテンツの制作者に対し、ツール収益の一部を分配することも明らかにしています。Getty Imagesの広報担当者はテクノロジー系メディア・TechCrunchへのメールで、「私たちは毎年定期的に、AIジェネレーターをトレーニングするために使用されたコンテンツの貢献者と、ツールから生み出された収益を共有します。多くの異なる要因に基づく一定の計算式があり、各貢献者はそれに応じて、ツールからそれぞれ異なる支払いを受けることになります」と述べています。

「生成AI by Getty Images」を利用したい場合は、公式サイトから「試用版を希望する」をクリック。


入力フォームに氏名や会社名、連絡先などを入力してリクエストを申請すると、後日担当者から連絡が届きます。なお、「生成AI by Getty Images」の価格は通常のGetty Imagesサブスクリプションとは異なり、プロンプトのボリュームに基づいて価格設定されているとのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
画像生成AI「Stable Diffusion」開発元のStability AIがかつてGoogleを和解に持ち込ませたこともあるストックフォトサイトのGetty Imagesに訴えられる - GIGAZINE

画像生成AI「Stable Diffusion」をGetty Imagesが著作権侵害で提訴、これで2回目の法的手続き - GIGAZINE

AIはフォトストック業界を殺すのか? - GIGAZINE

画像生成AI「Stable Diffusion」「Midjourney」「DALL-E」などで生成した画像のアップロードと販売をGetty Imagesが禁止、ユーザーが法的なリスクに直面する可能性があるという懸念が理由 - GIGAZINE

Adobeの画像生成AI「Firefly」が日本語で使えるようになったので試してみた - GIGAZINE

Photoshopに画像生成AIが搭載されて「画像に好みの被写体を追加」「背景を別物に変更」といった操作を日本語で指示するだけでサクッと実行可能になったので使ってみた - GIGAZINE

Adobeが画像生成AI「Firefly エンタープライズ版」で作った画像で訴訟された場合は全額補償すると発表、自社AIは権利侵害していないという自信の表れ - GIGAZINE

in ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by log1h_ik

You can read the machine translated English article here.