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画像生成AI「Stable Diffusion」をGetty Imagesが著作権侵害で提訴、これで2回目の法的手続き


大手フォトストックサービスのGetty Imagesが2023年2月3日に、画像生成AI「Stable Diffusion」を手がけるAI企業のStability AIに対する訴訟をアメリカの裁判所に提起しました。Getty ImagesがStability AIを相手に法的手続きに踏み切ったのは、2023年1月にイギリスで訴訟前通告書を発行したのに続き今回で2回目です。

Getty Images sues AI art generator Stable Diffusion in the US for copyright infringement - The Verge
https://www.theverge.com/2023/2/6/23587393/ai-art-copyright-lawsuit-getty-images-stable-diffusion

Getty Imagesはデラウェア州地方裁判所に提出した2月3日付の訴状で、「Stability AIはGetty Imagesの知的財産を驚異的な規模で堂々と侵害しました」とStability AIを非難した上で、「Getty Imagesの写真を1200万点を当社への許可や補償もなくコピーしています」と主張しました。


画像生成AIは、学習データとしてインターネット上に公開されている写真やアート作品などを使用するため、権利者との間でたびたびトラブルになっています。Getty Imagesは1月にもイギリスで訴訟前の手続きである「訴訟前通告書」をStability AIに発行しているほか、Stability AIはさらにMidjourneyやDeviantArtとともに集団訴訟も起こされています。

画像生成AI「Stable Diffusion」開発元のStability AIがかつてGoogleを和解に持ち込ませたこともあるストックフォトサイトのGetty Imagesに訴えられる - GIGAZINE


法律の専門家は、Getty Imagesは集団訴訟を起こしたアーティストたちより法廷での立場が強いとしつつも、未開拓の法的領域ではどんな結果になるかは予想がつかないと指摘しています。

AIと著作権法を専門とするイギリスの法律家であるAndres Guadamuz氏は、IT系ニュースサイトのThe Vergeの取材に対して「Getty Imagesの訴状は集団訴訟のものより技術的に正確です。この訴訟はおそらく著作権侵害の主張が争点になると見られており、被告となったStability AIはフェアユースで反論する可能性が高いでしょう。この争いがどちらに転ぶかは分かりません」とコメントしました。

また、著作権や商標を専門とする弁護士のアーロン・モス氏はTwitterに「Getty Imagesが今回提出した訴状は、1月の集団訴訟のものよりずっといいものです。AIをトレーニングするために著作権で保護された画像を入力しているところを指摘しており、焦点がきちんと定まっているので、フェアユースの戦いとして興味深いものになるでしょう」と投稿しています。

BREAKING: Getty Images just filed a copyright and trademark infringement lawsuit against Stability AI in Delaware District Court. Getty alleges that Stability copied more than 12 million Getty photos to train Stable Diffusion. Full complaint here: https://t.co/o6qwG8OCtt

— Aaron Moss (@copyrightlately)


フェアユースを盾に、無断で画像を使用するAI企業とアーティストの権利に関する議論を進展させると期待されている今回の「Getty Images対Stability AI訴訟」ですが、決着までには時間を要するとみられています。

モス氏はThe Vergeに対して、「デラウェア州地方裁判所の訴訟記録簿はかなり先まで埋まっています。私もそこでの案件を扱っていますが、裁判官は『棄却の申立てが提出されてから決定までに最大6~9カ月はかかるのが普通だ』と話していました。今回のGetty Imagesの事例では、裁判までのさまざまな手続きに数年かかるでしょう」と話しました。

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in ソフトウェア, Posted by log1l_ks

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