Unityへの信頼が失われたとして最古の公式Unityユーザーグループ「B.U.G.」が解散
最初のUnity公式開発者コミュニティとして2010年に設立されたBoston Unity Group(B.U.G.)が、2023年9月27日に催すイベントを最後に活動を停止することを発表しました。
bostonunitygroup.s3.us-east-1.amazonaws.com/index.html
https://bostonunitygroup.s3.us-east-1.amazonaws.com/index.html
The End of an Era - BUG's Final Event, Wed, Sep 27, 2023, 7:00 PM | Meetup
https://www.meetup.com/b-u-g-boston-unity-group/events/296318684/
ゲームエンジンを手がけるUnityは2023年9月に、ゲームがインストールされるたびに課金するという新しい料金体系を発表し、ゲーム開発者らから猛抗議を受けました。その後、Unityは価格改定の見直しを発表しましたが、すでに多くのゲーム開発者が新しいゲームエンジンへの移行を表明するなど、Unityとコミュニティの間には深い溝が横たわったままとなっています。
Unityが「ゲームがインストールされるたびに手数料発生」の価格体系を導入してゲーム開発者が激怒、年額約5万円の「Unity Plus」も新規受付停止に - GIGAZINE
こうした問題を受けて、Unity公式開発者コミュニティのB.U.G.は2023年9月26日に、次回の月例会をグループ最後のイベントにすることを明らかにしました。
It is with a heavy heart that we are announcing our final Boston Unity Group event. We are eternally grateful for our community, supportive Unity employees, speakers, sponsors and venues.
— Boston Unity Group (@BosUnityGroup) September 25, 2023
We have released a joint statement here: https://t.co/fbs1lSQxqOhttps://t.co/AhPO7pSfTp pic.twitter.com/rDyIjwaIpZ
B.U.G.は、2010年にゲーム開発者のエリオット・ミッチェル氏とアレックス・シュワルツ氏が設立した世界初の公式Unityユーザーグループです。当時比較的新しいテクノロジーだったUnityでゲームをリリースするため、B.U.G.は13年間にわたり毎月最終水曜日に定例会を開催し、講演やワークショップ、技術交流などを通じてUnityのコミュニティを発展させてきました。
その間、B.U.G.のメンバーは数千人に増加し、ボストンのインディーゲーム開発者から大作タイトルの開発者、エンジニアや教育関係者、映画制作者などさまざまな顔触れが集まってイベントや活動に携わるようになりました。
また、Unityと同社の元CEOであるデビッド・ヘルガソン氏も、B.U.G.を設立当初から公認し熱心に後押ししてきました。これについてB.U.G.は、「私たちをはじめ、より広範なUnityコミュニティをサポートするために、時間と労力を費やしてくれたデビッドとすべてのUnity従業員に大変感謝しています」と謝辞を述べています。
その一方で、Unityは2020年頃からゲーム業界や開発者コミュニティの支援から手を引き、新規株式公開(IPO)を境に中核的な人材を解雇するなどして利益を優先するようになりました。
そして、B.U.G.がUnityを見限る決定打となったのが、前述の料金改定です。これについてB.U.G.は「経営陣主導のビジネス上の意思決定が、いとも簡単かつ軽率に、私たちが苦労して築き上げてきたゲームスタジオを破産させ、プロフェッショナルとしての私たちの生活を脅かし、業界の存続を危うくしたのを目の当たりにしました。現在のUnityはB.U.G.設立当初のUnityと同じ会社ではなく、これまで私たちが会社に対して抱いてきた信頼は完全に失われています」と非難しました。
そして、B.U.G.は企業としてのUnityではなくゲーム開発者をサポートするという本来の理念を全うすべく、Unityに限らずすべてのゲーム開発者に機会を提供する方針へと転換することを決定しました。B.U.G.はメンバーに対し、Boston GameDevという新しいグループへの参加を促しており、今後はUnityに加えてUnreal EngineやGodotなどを通じて地元・ボストンのゲーム開発者とつながっていくとしています。
・関連記事
価格改定で大荒れのUnityが「無料プラン続行」「既に発売済みのゲームは対象外」などの見直しを発表 - GIGAZINE
「Unity」の移行先の候補になるゲームエンジンまとめ - GIGAZINE
「インストール1回ごとに○円」という料金体系を発表したUnityがインストール回数を自己申告制に切り替える計画か - GIGAZINE
Unityが「ゲームがインストールされるたびに手数料発生」の価格体系を導入してゲーム開発者が激怒、年額約5万円の「Unity Plus」も新規受付停止に - GIGAZINE
Unityが突如発表した「ゲームのインストール数に応じた料金システム」にゲーム開発者が怒りのコメントを続々投稿 - GIGAZINE
Unityが突然料金を改定したのは「自社の広告プラットフォームにユーザーを誘導するため」ではないかという指摘 - GIGAZINE
・関連コンテンツ