ソフトウェア

Unityが「ゲームがインストールされるたびに手数料発生」の価格体系を導入してゲーム開発者が激怒、年額約5万円の「Unity Plus」も新規受付停止に


多数の開発者が利用するゲームエンジン「Unity」が価格体系を大幅に変更しました。既存の定額料金に加え、Unityソフトウェアを使用したゲームがインストールされるたびに、開発者に一定の手数料が請求されることになります。

Changes to pricing and Unity plans 2023 FAQ | Unity
https://unity.com/pricing-updates


Official - Unity plan pricing and packaging updates - Unity Forum
https://forum.unity.com/threads/unity-plan-pricing-and-packaging-updates.1482750/

Unity のプランの価格設定とパッケージの更新 | Unity Blog
https://blog.unity.com/ja/news/plan-pricing-and-packaging-updates

これまでUnityは、個人向けプランの「Unity Personal」と、使える機能が増えた「Unity Plus」「Unity Pro」、最上級プランの「Unity Enterprise」を用意し、月額または年額での支払いを受け付けていました。


2024年1月1日から、上記の定額料金に加え、ゲームが「インストール」された回数に応じて手数料を請求する「Unity Runtime Fee」が導入されます。Unity Runtime Feeの適用にはしきい値が設けられていて、「Unity Personal」および「Unity Plus」では「過去12カ月の収益が20万ドル(約2950万円)を超えた場合」かつ「インストール回数が20万回を超えた場合」に適用されることになります。

手数料は以下の通りとなっており、「Unity Personal」および「Unity Plus」ではインストール回数にかかわらず1インストールごとに0.2ドル(約30円)が請求され、他のプランではインストール回数に応じて単価が変わります。こうした変更について、Unityは「ゲームがダウンロードされるたびに、Unity ランタイムという重要なソフトウェアもインストールされるため」と説明しています。


上記表には「新興市場向け」の料金も記載されていますが、これは国ごとに価格を変えているUnityの分類に基づいていて、日本は「標準」の方が適用されます。Unityのヘルプページによると、新興市場はアメリカ、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、日本、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、スイス、韓国、イギリス以外の国のことを指しています。

このニュースはゲーム開発コミュニティから嫌悪感をもって受け止められました。特に手数料がインストール回数に応じて請求されるという点について、1人のユーザーが何度もインストールしたり、複数のデバイスにインストールしたり、あるいは海賊版のゲームをインストールしたりすることでも料金が発生するのではという懸念が生じ、公式フォーラムやXのポストに対するリプライで、請求の透明性を求める声が多く上がっています。


Unityによると、ユーザーがゲームを再インストール・再ダウンロードしたり、複数の端末にインストールしたりした場合、複数のインストールとしてカウントされ、手数料が発生するとのことです。

・2023年9月15日追記:Unityがフォーラムの記述を修正し、「再インストールは複数のインストールとしてカウントしない」と明記しました。


海賊版がインストールされた場合について、Unityは「当社の広告テクノロジーでは、同様の問題を解決する不正検出手法をすでに導入しており、そのノウハウを出発点として活用していく」と説明し、ユーザーの懸念を鑑みて「不正コンプライアンスチームに懸念を提出できるプロセス」を提供すると約束しています。

この説明には「出発点ということは、まだ取り組み始めていないのですか?あと4カ月しかありませんが」というコメントや、「海賊版のインストールと正規のインストールを区別するなんて、理論的に可能なんですか?もし可能なら、完璧なDRM(デジタル著作権管理)技術として販売して大金を稼げるはずですが」といったコメントが返され、具体的な対策法について説明を求める声が寄せられることとなっています。


DRMといえば、Unity自身もサービスの利用にDRMに基づく認証を要求し始めることが指摘されています。ヘルプページによると、Unityは「Unity Personal」プランにおいて「新しいサインインオプション」を制定し、Unityを利用するためには「Unity ID」でサインインしてインターネットに接続しなければならないと定めるとのこと。これにより、オフライン状態では最大3日間しかUnityを使用できません。詳細については、変更が有効になった時に知らせる予定とされています。

上記の変更に加え、Unityは「Unity Plus」プランの新規契約受付を2023年9月12日をもって停止したことを明らかにしました。Unity Plusを契約中のユーザーは2024年3月27日まで同プランを利用可能で、この日までに更新がない場合、自動的に「Unity Personal」に切り替わります。また、Unity Plusの料金で1年間Unity Proを利用できる割引も提供されます。


Unity Plusの受付停止に伴い、これまで機能が制限されていたUnity Personalで「Unity Asset Manager」などいくつかの機能が解禁されることも明らかになっています。ただし、これまでUnity Plusの機能を十分に活用していたユーザーにとって受付停止は大きな痛手となり、年額料金が5倍近く跳ね上がるUnity Proを検討する必要が生じます。

・つづき
Unityが突如発表した「ゲームのインストール数に応じた料金システム」にゲーム開発者が怒りのコメントを続々投稿 - GIGAZINE

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
UnityがAIツールを販売するデジタルストアを開設、直後に株価が15%以上急騰 - GIGAZINE

ゲームエンジン大手「Unity」が2兆3700億円の買収提案を拒否 - GIGAZINE

ゲームエンジン大手「Unity」が2兆3700億円の買収提案を受ける、Unity側は提案を検討 - GIGAZINE

Unityが200人超の従業員を解雇、数週間前に「従業員の解雇はない」とCEOが明言したばかり - GIGAZINE

次世代ゲームエンジン「Unreal Engine 5」の登場で「Unity」が終わるのではという指摘 - GIGAZINE

in ソフトウェア,   ゲーム, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.