Huaweiの新型スマホ「Mate 60 Pro」に搭載された7nmプロセスの5Gチップに対しアメリカ政府が「大量生産できる証拠はない」と指摘
中国の大手通信機器メーカーであるHuaweiが2023年8月30日に発表した最新スマートフォン「Mate 60 Pro」は、中国のチップメーカーであるSMICの7nmプロセスで製造された5G接続に対応したチップが搭載されています。Huaweiに対し、セキュリティ上のリスクの観点から半導体技術の輸出規制を行うアメリカ政府は、Mate 60 Proのチップに関して「Huaweiが7nmプロセスの5Gチップを大規模に製造できるという証拠はありません」と指摘しています。
No Evidence That China Can Make Advanced Chips ‘at Scale,’ US Says - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-09-19/no-evidence-that-china-can-make-advanced-chips-at-scale-us-says
US has no evidence Huawei can mass produce advanced smartphones | Reuters
https://www.reuters.com/technology/us-has-no-evidence-huawei-can-produce-advanced-smartphones-large-volumes-2023-09-19/
US government doesn't think HUAWEI Mate 60 Pro chip can scale
https://www.androidauthority.com/huawei-mate-60-pro-chip-3365912/
‘Call me an Apple fan’: Huawei founder Ren Zhengfei maintains admiration for US tech giant as their new 5G handsets go head-to-head in world’s biggest smartphone market | South China Morning Post
https://www.scmp.com/tech/big-tech/article/3235095/call-me-apple-fan-huawei-founder-ren-zhengfei-maintains-admiration-us-tech-giant-their-new-5g
アメリカは近年、Huaweiや大手スマートフォンメーカーのZTEを「国家安全保障上の脅威」として危険視しています。2022年11月からは、アメリカ国内においてHuaweiをはじめとする中国企業の通信機器の販売が禁止されています。
また、中国政府が高性能チップを軍事転用することを危惧したアメリカ政府は、SMICをはじめとする半導体企業に対し、最先端の半導体および半導体製造技術の輸出規制を強化しています。一方で中国はこのような規制に対し、国産チップの製造技術強化に向けて取り組んでいることが報告されていました。
NVIDIAやAMDに対し「中国へのAIチップの輸出規制」をアメリカ政府が命じる - GIGAZINE
そんな中、2023年8月30日にHuaweiは突如として新型スマートフォン「Mate 60 Pro」を発表。HuaweiはMate 60 Proに搭載されたチップについての詳細を明らかにしていませんが、さまざまなメディアが調査を行ったところ、「Kirin 9000s」と呼ばれる7nmプロセスで製造された5G通信対応のチップが搭載されていることが明らかになりました。
Huawei最新スマホ「Mate 60 Pro」は7nmプロセスの5Gチップを搭載していることが判明、中国はアメリカ主導の厳しい輸出規制の回避に成功か - GIGAZINE
半導体製造技術の厳しい輸出規制が行われる中国では、7nmのような極小のプロセスで5G接続に対応したチップを製造、開発することは困難だと考えられています。ジーナ・レモンド商務長官は、2023年9月19日に行われた下院委員会の公聴会において「5Gに対応した高度なチップを搭載したスマートフォンをHuaweiが発表したことに驚きましたが、Huaweiが7nmプロセスのチップを大量生産できる証拠はありません」と指摘しています。
海外メディアのAndroid Authorityは「Huaweiがチップセットの開発技術において大きな進歩を遂げたか、国際的な貿易制裁に違反している可能性があります」と述べています。一方でアメリカ商務省は「Kirin 9000sはアメリカの半導体製造技術を使用して作られたに違いありません」と断定。さらに「貿易制限に違反する可能性のある今回のチップに関して、より多くの情報を入手するためにさまざまな取り組みや調査を行っています」と報告しています。
一方でHuaweiのレン・ジェンフェイCEOは「私たちはプライバシー保護の観点や価格戦略の面でAppleを見習っています。たしかに私たちはアメリカに圧力をかけられていますが、その圧力が動機となって独自のチップなどの開発を積極的に行っています」と述べ、貿易制限に違反しない開発を行っていることを示唆しています。
・関連記事
Huaweiの「Mate 60 Pro」に韓国のSKハイニックス製メモリが搭載されていることが判明、半導体輸出規制の有効性に疑問符 - GIGAZINE
Huawei「Mate 60 Pro」は規制回避のため独自開発の5Gチップ搭載か - GIGAZINE
Huawei最新スマホ「Mate 60 Pro」は7nmプロセスの5Gチップを搭載していることが判明、中国はアメリカ主導の厳しい輸出規制の回避に成功か - GIGAZINE
NVIDIAやAMDに対し「中国へのAIチップの輸出規制」をアメリカ政府が命じる - GIGAZINE
HuaweiやZTEなど中国メーカー5社の通信機器の販売を「国家安全保障へのリスク」を理由にアメリカ連邦通信委員会が禁止、イギリス政府も制限へ - GIGAZINE
HuaweiとZTEがついに「国家安全保障上の脅威」に指定される - GIGAZINE
・関連コンテンツ