Googleは独占禁止法違反を隠すために「市場シェア」「囲い込み」「ネットワーク効果」などの発言を禁止するよう教育していた
アメリカ司法省はGoogleを「検索エンジン市場における独占禁止法違反」の疑いで提訴しており、2023年9月12日から裁判が始まっています。裁判の中で、司法省が「Googleは独占禁止法違反の疑いを回避するために従業員に特定のワードを発しないように教育していた」と主張したことが報じられています。
Googlers Told to Avoid Words Like ‘Share’ and ‘Bundle,’ US Says - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/newsletters/2023-09-14/googlers-told-to-avoid-words-like-share-and-bundle-us-says-lmj27bhl
アメリカ司法省は2020年10月にGoogleを「検索エンジン市場における独占禁止法違反」の疑いで提訴しており、その裁判が2023年9月12日にワシントン連邦地方裁判で始まりました。司法省はGoogleがGoogle検索のシェアを高めるためにAppleやSamsungなどの大手デバイスメーカーにGoogle検索をデフォルト検索エンジンにするように働きかけている行為を問題視しており、Googleが「違法に独占状態を維持し、競争他社に対して不当な参入障壁を形成している」と主張して訴訟を展開する方針です。
Googleが検索エンジン市場において独占禁止法に違反しているかどうかを巡る裁判がスタート - GIGAZINE
そんな司法省による対Google訴訟の中で、司法省はGoogleの広告モデルを構築したことで知られるハル・ヴァリアン氏が2003年に残したメモを提示し、「Googleは独占禁止違反状態であることを疑われないように、従業員に『避けるべき表現』を指示していた」と主張しました。
具体的には「市場シェア」「規模」「ネットワーク効果」「レバレッジ」「閉じ込め」「囲い込み」「バンドル」「縁(tie)」といった言葉が避けるべき言葉に指定されていたとのこと。加えて、Google幹部は従業員に対して「我が社はユーザーを『閉じ込める』ことも『囲い込む』こともしません」「我が社は何も『レバレッジ」しません」と伝えていたとされています。
さらに、2011年には「Antitrust Basics for Search Team(検索チームのための独占禁止法基礎)」と名付けられた研修が実施されており、Googleは従業員に対して「戦争」「スポーツ」「勝敗」といった単語を含む比喩表現を避けるように教育していたとのこと。
裁判に出廷したヴァリアン氏は「この種の法律問題について弁護士と非公式に連絡を取っていた可能性はありますが、そのような教育を実施したことは記憶にありません」と証言し、司法省の主張を否定しています。
なお、司法省による対Google訴訟ではウェブブラウザや検索エンジンに関する広範な知識が求められますが、担当する裁判官が「Firefoxがウェブブラウザである」という知識すら持ち合わせていなかったことが報じられています。
司法省対Google訴訟を担当した裁判官が「Firefoxがウェブブラウザなのか検索エンジンなのか」さえ知らなかったとの指摘 - GIGAZINE
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