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司法省対Google訴訟を担当した裁判官が「Firefoxがウェブブラウザなのか検索エンジンなのか」さえ知らなかったとの指摘


2023年9月13日からワシントン連邦地方裁判所で行われているGoogleとアメリカ司法省との裁判の争点は「Googleが検索エンジン市場を違法に独占しているかどうか」です。このような裁判を審理する裁判官には適切な知識が求められますが、今回のGoogleとアメリカ司法省との裁判における裁判官には、ウェブブラウザのMozilla Firefoxに関する知識などが欠如していることが指摘されています。

Judge in US v. Google trial didn’t know if Firefox is a browser or search engine | Ars Technica
https://arstechnica.com/tech-policy/2023/09/judge-in-us-v-google-trial-didnt-know-if-firefox-is-a-browser-or-search-engine/


アメリカ司法省(DOJ)と州司法長官のグループは2020年に、Googleを「検索エンジン市場における独占禁止法違反」で提訴しました。DOJは「GoogleはAppleやSamsungなどの企業とGoogleをデフォルト検索エンジンにするための契約を結んでおり、こうした慣行によって違法に独占状態を維持し、競合他社に対して不当な参入障壁を形成しています」と主張しています。

この訴訟に関する裁判が、2023年9月12日からアミット・メータ判事の下でワシントン連邦地方裁判所で開かれています。

Googleが検索エンジン市場において独占禁止法に違反しているかどうかを巡る裁判が開幕 - GIGAZINE


裁判ではDOJのケネス・ディンツァー氏が「Googleは世界のトップシェアに立った2007年以降、さまざまなモバイルデバイスのデフォルト検索エンジンであるという影響力を『武器化』しており、検索および広告市場で独占力を違法に維持しています」と主張。またディンツァー氏は「Googleが競合他社の参入をブロックし、ウェブ検索を『消費者にとってより速く、より簡単に、そしてより良い』ものにする可能性を阻害しています」と述べています。

証人としてDOJは元Googleチーフエコノミストのハル・ヴァリアンを招請。また、検索エンジン「Neeva」の共同創設者であるスリダール・ラマスワミを招請し、Googleが競合他社の検索プロバイダーにもたらしている参入障壁について証言を求めました。

さらにウィリアム・キャバノー弁護士によると、GoogleはMicrosoftと検索広告 360にBingの広告を掲載する取引を行ったにもかかわらず、意図的に検索広告 360へのBing広告の実装を遅らせているとのこと。

一方でGoogle側のジョン・シュミットライン弁護士は「GoogleがMicrosoftと広告掲載に関する契約を締結したという事実はなく、したがって広告を掲載する義務はありません」と反論しています。


今回のGoogleとDOJをめぐる裁判では、適切な判断を行うために検索エンジンがどのように発展してきたかについてや、検索エンジンのシステムに関する知識が必要となります。しかし、海外メディアのArs Technicaによると、メータ氏は検索広告 360について理解するのに苦心していて、さらに、Mozilla Firefoxがウェブブラウザなのか、検索エンジンなのかについて理解していなかったことも報告されています。

またシュミットライン氏は「近年のユーザーは情報の検索にTikTokなどのSNSに頼る傾向が強くなっています」と述べ、「Googleは一般的な検索エンジンだけでなく、さまざまな検索プロバイダーとの競争に直面しています」と主張しています。さらに、「GoogleがMozillaやAppleなどが提供するウェブブラウザでデフォルトの検索エンジンになれたのは、Googleが関連市場で独占力を持っているからではなく、Google検索エンジンの品質が高いためです」と述べています。


シュミットライン氏は「Microsoftや他の検索エンジンがその分野においてトップシェアを確保できなかったのは、GoogleがAppleやMozillaとデフォルト検索エンジンに関する契約を結んでいるからではなく、質の低い検索エンジンを提供しているからです」と批判しています。

加えてシュミットライン氏はDOJに対して「今回の裁判はGoogleとその検索能力を阻害することで、検索エンジン市場における競争をゆがめようとしています」と指摘しました。

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in ネットサービス, Posted by log1r_ut

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