深海の底から「謎の黄金オーブ」が見つかり科学者が困惑、生物学的な由来と専門家
水深3300メートルの海底を調査していたアメリカ海洋大気庁(NOAA)の探査機が、鈍い金色の光を放つ半球状の物体を発見して回収しました。記事作成時点では、何らかの生き物が由来の物体だということしかわかっておらず、その正体は謎に包まれています。
Unidentified Golden Specimen Captures Public Imagination
https://oceanexplorer.noaa.gov/news/oer-updates/2023/golden-orb.html
Golden ‘egg’ seen off Alaska coast by NOAA ocean explorers | Miami Herald
https://www.miamiherald.com/news/nation-world/national/article278790414.html
今回発見された黄金の物体は、NOAAが2023年8月23日から9月16日にかけてアラスカ州近海で実施している調査ミッション「Seascape Alaska 5」のさなかに、NOAAの遠隔操作型無人潜水機(ROV)のカメラが捉えたものです。
8月30日、白い海綿が散在する水深約3300メートルの海底をROVで探査していたところ、金色をした直径10センチほどのドーム状の物体が岩肌にしっかりと固着しているのが見つかりました。その模様は、ライブ配信を通じて瞬く間に拡散され、黄金の物体は一部のメディアから「黄金のオーブ」や「金の卵」と呼ばれました。
ズームにすると、何かが出てきたか、もしくは入ったことで形成されたと思われる穴が開いており、そこから表面と同じ金色の中身がのぞいているのがわかります。
ROVの映像を見ていたNOAAの科学者らは、死んだ海綿やサンゴ、もしくは何らかの生き物の卵を包んでいる卵鞘(らんしょう)ではないかと考えましたが、何なのかはわかりませんでした。そこで、調査チームはDNAサンプルを採取する必要があると判断し、黄金のオーブを回収することを決定しました。
鈍い光沢を放っていることから、黄金のオーブは当初硬質なものかと思われましたが、潜水艇のアームが触れると崩れてしまったため、とても柔らかいものだと判明しました。回収作業にあたったある科学者は、思わず「つついても何も出てこないことを願うばかり。まるでホラー映画の冒頭のようです」とこぼしたとのこと。
最終的に、黄金のオーブはチューブでそっと吸引して回収されました。
物体を船に持ち帰った調査チームでしたが、船内に搭載されている機材ではその正体を特定することができませんでした。調査ミッションを率いているNOAAのサム・キャンディオ氏は「『黄金のオーブ』を回収して船に持ち込むことはできたものの、生物に由来するものであるという事実以外のことはわかっていません。船に持ち込めるものよりも洗練されたツールを使用し、科学コミュニティの集合知を活用できるようなラボに搬入するまで、これ以上のことを学ぶことはできないでしょう」と話しました。
黄金のオーブが既知の生物種に関連するものなのか、新種の生き物によるものなのか、あるいは既知の種の未知のライフステージを表しているのかまだわかりませんが、調査チームはこの発見により海洋探査の重要性が改めて示されたと指摘しています。
キャンディオ氏は調査ミッションの意義について「新種の生き物は、新しい治療法やワクチン、食料、エネルギー、その他の社会的利益や新しい知識の源を明らかにする可能性を秘めています。この探査で収集されたデータや情報も、地球のある部分に関する理解のギャップを埋め、環境保護や自然管理の改善に役立つものとなるでしょう」と述べました。
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