砂漠の奥深くで輝く謎の「モノリス」が見つかる

アメリカ・ユタ州南東部の砂漠で2020年11月18日に、一体誰が設置したのかや設置の目的が不明な金属製の柱が発見されました。その様子がまるで映画「2001年宇宙の旅」に登場する石柱状の謎の物体「モノリス」のようだったことから、複数のメディアが「神秘的なモノリスが砂漠で見つかった」と報じています。

DPS Crew Discovers Mysterious Monolith From Air In Remote Utah Wilderness
https://ksltv.com/449486/dps-crew-discovers-mysterious-monolith-from-air-in-remote-utah-wilderness/

Utah helicopter crew discovers mysterious metal monolith deep in the desert - CNN Style
http://edition.cnn.com/style/article/utah-monolith-art-trnd/index.html

Even Utah’s mysterious monolith may be no match for Google Earth - The Verge
https://www.theverge.com/2020/11/24/21656223/mysterious-utah-monolith-osint-google-earth-tracking

ユタ州の砂漠でモノリスを見つけたのは、ユタ州公共安全局のヘリに搭乗していたユタ州野生生物資源局の職員です。ヘリの乗組員らは、オオツノヒツジの生息数を確認する調査中に奇妙な金属柱があるのを発見。現場に降下して調査を行いました。

地元テレビ局・KTVXが報じたモノリスのニュース映像は、以下から見ることができます。

Mystery Monolith in SE Utah - YouTube

「私たちの勇敢な探検隊が、異星人の痕跡を調査するために岩陰を降りています」とレポーターが報告しています。

探検隊が向かう先には、鈍い光沢を放つ謎の金属柱が。

これが、今回発見されたモノリスです。

上から見ると、三角柱の形状をしていることが分かります。

ユタ州の職員が横に立つとこんな感じ。

モノリスは、成人男性の背丈の2倍ほどの高さを持つかなり巨大な物体でした。

報道によると、モノリスの高さは10～12フィート(約3～3.6メートル)ほどだったとのこと。また、地面にしっかりと固定されていたことから、落下物ではなく何者かが意図的に設置したものだと見られています。

ヘリのパイロットであるブレット・ハッチングス氏は地元テレビ局の取材に対し、「私は、これを設置したのはニューウェーブのアーティストだと思います。もしくは、かの有名な『2001年宇宙の旅』の大ファンでしょう」とコメントしました。モノリスを発見した職員らは現場で、「もし誰か1人が突然消えたら、残りのメンバーで調査をやり遂げよう」と冗談を言い合っていたとのことです。

月刊誌・The Art Newspaperはモノリスについて、2011年に亡くなったミニマリストの芸術家であるジョン・ マクラッケンの作品との類似性を指摘。美術商のデイヴィッド・ツヴィルナー氏も、ニューヨーク・タイムズの取材に対して「これは間違いなくジョンによるものです」と語り、モノリスはマクラッケンの作品であるとの見方を示しました。

しかし、ツヴィルナー氏はイギリスの大手一般新聞・The Guardianに対し、「モノリスはおそらく、マクラッケン氏自身の作品ではなく、彼に敬意を表した仲間のアーティストの作品ではないでしょうか」とも話しています。また、IT系ニュースサイト・The Vergeによると、ネット上にはPetecia LeFawnhawk氏の作品であるとの意見もありますが、LeFawnhawk氏は自身の関与を否定したとのことです。

ユタ州当局は、自然環境保護の観点からモノリスの発見場所の公表を避けましたが、ネット上ではさっそくモノリス探しが開始され、ほどなくして発見現場らしき場所が特定されました。

その場所が以下。Googleマップの衛星写真には、確かにニュース映像にそっくりな岩陰や、長い影を落とす柱状の物体が写っています。


また、2015年8月に撮影されたGoogleマップの衛星写真(左)にはモノリスがない一方で、2016年10月の衛星写真(右)にはモノリスが存在していることから、モノリスの設置時期は2015年8月～2016年10月の間であるとみられています。

ユタ州当局はモノリスについて、「公共の土地に無許可で設置されたものだ」と指摘。自然環境の一部である岩を破壊して設置されたものであることや、もしモノリスへの訪問が流行になれば観光客により自然やオオツノヒツジの生態系が脅かされるとの懸念から、今後モノリスの追加調査の実施や撤去について検討していく方針だとしています。