ネットサービス

「AIの力で3Dモデルを作成する」とうたう企業が実は人力だった


Forbes発表の「30歳未満の30人」リストに創業者が名を連ねた新興AI企業のKaedimが、自動変換との宣伝文句を破り人力で仕事をしていたと報じられました。

Buzzy AI Startup for Generating 3D Models Used Cheap Human Labor
https://www.404media.co/kaedim-ai-startup-2d-to-3d-used-cheap-human-labor/

Kaedimは機械学習を使ってクライアントの2Dイラストを3Dモデルに変換する業務を担う企業で、ゲームデベロッパーなどにサービスを提供しています。同社は「2Dから3Dへの自動変換」「3Dモデリングの退屈な部分を自動化する」とうたい、あたかもすべてAIで作業しているかのように宣伝していましたが、実際には「品質管理」のために人間のアーティストが関与していたと、独立系メディアの404 Mediaが報じています。


404 Mediaが連絡をとった情報筋によれば、Kaedimは24時間365日体制で世界中の3Dアーティストを雇っており、アーティストは完成したモデルひとつごとに報酬が支払われる歩合制で働いていたとのこと。その報酬はモデルひとつにつき1ドル(約148円)から4ドル(約590円)程度で、仕事を早く引き受けると少額のボーナスがもらえたそうです。

Kaedim創設者のコンスタンティナ・プソマ氏は「従業員は全員月給制です」と語りましたが、作成したモデルごとに報酬を支払ったかどうかという質問には答えませんでした。


情報筋のひとりによれば、ある時点ではAIの助けをまったく借りずにアーティスト自身が3Dデザインを丸ごと制作していたとのこと。404 Mediaが記事を掲載した後、Kaedimはウェブサイトをリニューアルし、同社の3D画像制作に人間が関わっていることをより明確にしました。

プソマ氏は404 Mediaの報道を受けて声明を出しています。プソマ氏が説明したところによると、Kaedimの作業プロセスは、まず2D画像を受け取ったAIアルゴリズムが3Dモデルを出力し、それを人間の品質管理エンジニアが品質基準に一致するよう必要に応じて改善するようになっているとのこと。プソマ氏は「私たちのアルゴリズムは常に完璧であるとは限らないので、品質を保証する必要があるのです」と弁明しました。

しかし、404 Mediaが接触した情報源のひとりは上記の声明に反論し、「自分たちの仕事は品質管理ではなく、むしろ生産に近い」と主張したとのこと。当該人物は「確かに品質管理の工程には実際に品質を判断する目が必要ですが、一部の従業員はクライアントが提出した2D画像しか見ておらず、AIが生成したものを見ていないこともありましたよ」と述べたそうです。


404 Mediaがプソマ氏にコメントを求めた後、Kaedimはシステムの仕組みに関する文書を更新し、「モデルから出力されたものを改良するための社内アーティストチームがある」という点を文書に付け加えています。

プソマ氏によると、自身が声明を出した2023年8月時点では1作品あたり平均15分というスピードで作業が完了し、今後1年から1年半以内に1分以内で完成させることを目標としているとのこと。2024年中に「完全自律型」のリリースを目指し、アルゴリズムの進展にとって不可欠な品質管理作業を並行して行うとプソマ氏は述べました。


なお、月に10本までのモデルを作成できるKaedimの「スターター」プランは月額150ドル(約2万2000円)から、20本までの「インディーズ」は月額300ドル(約4万4000円)から、月に60本までの「スタジオ」は月額1000ドル(約14万8000円)からとなっています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「AIが差別発言しないかをAIでチェックする」というDeepMindの試み - GIGAZINE

「認証はすべて手動」と宣言したTwitterが手痛いミス、記者が作成した議員なりすましアカウントを認証してしまう - GIGAZINE

「人力で集めたデータを元にしたチャットAI」が人力言語モデルプロジェクト「Open Assistant」から登場したので使ってみた - GIGAZINE

「あなたの過去を消去します」デジタルタトゥー削除をうたう企業が行ってきた非倫理的・欺瞞的手法がリークにより明らかに - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.