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X(旧Twitter)がサウジアラビアの人権侵害をほう助したとして訴えられる


X(旧Twitter)はサウジアラビア当局の要請に応じてユーザーの機密データを開示しており、これが「サウジアラビアの人権侵害をほう助している」としてアメリカで訴訟を提起されています。

Twitter accused of helping Saudi Arabia commit human rights abuses | Saudi Arabia | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2023/sep/04/twitter-saudi-arabia-human-rights-abuses


2022年5月、懲役20年の判決を受けたサウジアラビア人活動家の妹であるアリージ・アル・サダン氏が、サウジアラビア政府のエージェントとして2014年と2015年にTwitterの従業員として働いていた複数人が、ユーザーの機密情報を外部に漏えいさせたと訴えました。この訴状によると、機密情報の漏えいがサダン氏の兄の逮捕につながったそうです。

この訴状の修正版が2023年9月にサダン氏の弁護士により公開されています。これによると、当時のTwitterの最高経営責任者(CEO)であったジャック・ドーシー氏の指揮の下、Twitterはサウジアラビア政府による「反体制派排除キャンペーン」を意図的に無視、あるいはキャンペーンを知っていたにもかかわらず財政上の配慮および努力のため、サウジアラビア政府を支援していたと指摘されています。


サウジアラビア政府によるTwitterを用いた反体制派への弾圧は、2014年12月頃から始まりました。サウジアラビア政府のスパイとして秘密裏に活動を行い、FBIに虚偽の証言をした罪でアメリカで有罪判決を受けたアフマド・アブアンモ氏が、当時のTwitterが保有していたユーザーの機密情報に不正にアクセスし、サウジアラビア当局に送信したのが始まりだそうです。

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この件に関する最新の訴訟で、アブアンモ氏がTwitterのダイレクトメッセージを使い、ムハンマド・ビン・サルマーン氏の側近であるサウド・アル・カフタニ氏に、「積極的かつ事後的に悪を削除します、兄弟よ」というメッセージを送ったことが指摘されています。訴状では、この発言は「Twitterを利用している反体制派を特定し、危害を加えることができたことを示すものである」と言及されています。

なお、アブアンモ氏からメッセージを受け取っていたカフタニ氏は、反体制派のジャーナリストであるジャマル・カショギ氏殺害の容疑でアメリカで告発された人物です。

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訴状には「Twitterはこのメッセージの存在を認識していた、あるいは自社プラットフォームで厚かましくも送信されていたことを意図的に知らないようにしていたかのどちらかです」と記されています。

アブアンモ氏はTwitterからユーザーの機密情報を収集するために、サルマーン氏の上級補佐官であるバデル・アル・アサケル氏から要請を受けたようで、Twitter側には「サウジアラビア政府の古いパートナーを代表してユーザーの機密情報を収集している」と説明していた模様。

また、訴状では「Twitterはユーザーの機密情報をサウジアラビア政府側に提供するセキュリティリスクを十分に認識しており、内部関係者による不正アクセスを検知していた可能性もある」と記されています。

この他、Twitterは2015年9月28日にサウジアラビア人ユーザーから「アカウントが侵害された」という苦情を受け取っていたものの、ユーザーの機密情報へのアクセスを妨げるような行動をとらなかったとも指摘されています。


一方で、サウジアラビア当局は「Twitter社内で働くエージェントからユーザーの機密情報を受け取った後、ユーザーの身元を確認するための情報を入手するために、EDR(緊急開示要求)をTwitterに提出する予定だった」と説明しています。

また、サウジアラビア当局は2015年5月にサウジアラビア政府を批判するようなツイートを投稿した2人のTwitterユーザーの機密情報にアクセスした後に、EDRを発行してTwitter側に承認されたと主張しています。

なお、訴状によるとTwitterは2015年7月から12月までの6カ月にわたり、カナダ・イギリス・オーストラリア・スペインを含むほとんどの国よりも「かなり頻繁に」サウジアラビア政府からの情報開示請求に応じていたそうです。

TwitterはFBIの懸念を知ると、サウジアラビア当局のスパイとして働いていたアルザバラ氏を停職処分とし、同氏がTwitter社内で利用していたノートPCを没収。ただし、サウジアラビア当局との連絡に頻繁に使用していたという携帯電話は没収しなかったそうです。そのため、訴状では「アルザバラ氏がすぐにサウジアラビアに逃亡すると予想する十分な理由があったが、まさにその通りでした」と記されています。

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in ネットサービス, Posted by logu_ii

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