ロックダウン・マスク着用・ソーシャルディスタンスの維持が新型コロナウイルスの感染拡大を明らかに減少させたという報告書
イギリスの王立学会が「COVID-19: examining the effectiveness of non-pharmaceutical interventions(非薬物的介入の有効性の検討)」というレポートで、新型コロナウイルスのパンデミックにおいて、社会的距離を置くことやマスクを着用するといった措置が感染拡大を明らかに減少させたと報告しています。
COVID-19: examining the effectiveness of non-pharmaceutical interventions
(PDFファイル)https://royalsociety.org/-/media/policy/projects/impact-non-pharmaceutical-interventions-on-covid-19-transmission/covid-19-examining-the-effectiveness-of-non-pharmaceutical-interventions-executive-summary.pdf
Lockdowns and face masks ‘unequivocally’ cut spread of Covid, report finds | Coronavirus | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2023/aug/24/lockdowns-face-masks-unequivocally-cut-spread-covid-study-finds
このレポートは、薬やワクチンではなく、マスクやフェイスカバー、社会的距離、ロックダウン、検査、追跡と隔離、渡航制限、環境管理、コミュニケーションなど、医薬品以外のさまざまな対策を適用した非医薬品介入(NPI)の有効性を検討したもので、さまざまな国や地域で発表された何千もの研究論文を検討した6つの専門家主導によるレビューをまとめたものです。
各NPIを個別に評価した場合、感染減少につながったかどうかについては限定的ではあるものの肯定的な証拠が見つかったとのこと。そして、それぞれのNPIを組み合わせた場合、より大きな感染減少につながったことが示されました。また、感染がそこまで進んでいない時にNPIが最も効果的であることも示されたそうで、王立学会はパンデミックの初期や再流行の最初期にはNPIを徹底するべきであることが裏付けられたとしています。
王立学会によると、NPIの中で最も効果的だったのが「社会的距離の確保」と「ロックダウン」だったそうで、外出禁止令による物理的距離の確保、大規模な集会の制限が新型コロナウイルス感染の大幅な減少に関連していることが示されました。
さらにフェイスマスクの着用と義務化の対策は感染を減らす効果的なアプローチであることが示されたとのこと。特にN95マスクなどの高品質なマスクが一般的な外科用マスクよりも効果的であることも判明しました。また、検査・追跡・隔離の措置を評価して高レベルの接触追跡を実施した国では、新型コロナウイルス感染症による死亡者数の減少が示されています。
オックスフォード大学のクリストファー・ダイ教授は「世界保健機関(WHO)が言うところの疾病Xによる次のパンデミックに備えているのです。疾病Xがどんな病気なのかは分かりませんし、どこから始まるかはわかりません。したがって、どんな種類の病気でも処理できる汎用性の高いシステムが必要であり、私は世界規模で監視できるシステムの構築を最優先すべきだと考えています」と述べています。
オックスフォード大学応用統計学科長のイクリストル・ドネリー教授は「将来何が実施されるかはわかりませんし、それを実施するかどうかもわかりません。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックで起こった事の影響を特徴づけることは可能で、それが今後の意志決定に役立ちます。もちろん将来のパンデミックではより多くのデータを収集する必要があるでしょう」とコメントしました。
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