iPhoneの緊急SOS機能用の人工衛星を打ち上げるためGlobalstarとイーロン・マスクのSpaceXが93億円規模の契約を締結
アメリカの衛星通信会社・Globalstarが、iPhoneの緊急連絡サービスである「緊急SOS」用の衛星を打ち上げるため、イーロン・マスク氏がCEOを務める航空宇宙メーカー・SpaceXと6400万ドル(約93億円)の契約を結んでいたことがわかりました。
Globalstar hires SpaceX to launch satellites | Business News | nola.com
https://www.nola.com/news/business/globalstar-hires-spacex-to-launch-satellites/article_e00a5ebe-482e-11ee-9b68-8f4354d91d75.html
SpaceX sending iPhone Emergency SOS satellites to space
https://9to5mac.com/2023/09/01/spacex-iphone-emergency-satellites-globalstar/
2023年8月30日付でアメリカの証券取引委員会(SEC)に提出された書類によると、GlobalstarとSpaceXは8月28日に衛星の定期的な打ち上げに関する契約を締結したとのこと。これにより、Globalstarは2025年までに衛星を宇宙に打ち上げるために6400万ドルをSpaceXに支払うことになります。
Globalstarが打ち上げる衛星は、AppleがiPhoneユーザーに提供している緊急SOSサービスのサポートに使われるものだとされています。Globalstarは2022年に、Appleからの融資を受けて緊急SOS用の人工衛星を購入していました。
Appleが人工衛星を使った緊急SOS機能に600億円を投資 - GIGAZINE
GlobalstarとSpaceXの提携は今回が初めてではなく、Globalstarは2022年の緊急SOSサービス開始時にも、SpaceXを通じて人工衛星を打ち上げています。
衛星通信を利用した緊急SOSはこれまでのところアメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、アイルランド、オーストリア、ベルギー、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガルで利用可能ですが、新たな人工衛星の打ち上げにより対象地域が拡大する可能性があると期待されています。
海外ニュースメディアの9to5Macによると、Appleは2022年に「トランシーバーとアンテナを介した衛星通信」に関する特許を取得しているとのこと。これにより、緊急電話や緊急連絡先へのテキストベースの連絡が提供されている緊急SOSの機能に、ストリーミングや映像データ、通話などさまざまな種類のメディア機能が追加される可能性があると、9to5Macは指摘しました。
Globalstarは、2023年8月下旬に元Qualcomm幹部のポール・ジェイコブス氏が次期CEOに就任することを発表したばかりです。ジェイコブス氏はQualcomm退社後に無線通信ベンチャーであるXcom Labsを立ち上げており、同氏の選任の背景には衛星サービスと地上での通信サービスの統合に向けた動きがあるのではないかと報じられていました。
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