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汚れがほとんどこびりつかないトイレを3Dプリンターで制作することに成功


トイレの便器は使っているとどうしてもどこかに汚れがこびりついてしまうものですが、中国・華中科技大学の研究チームがよりよい便器を求めて素材を追求し、ついに、ほとんど何もくっつかずに流せてしまう便器を3Dプリンターで作ることに成功したと報告しています。

Abrasion‐Resistant and Enhanced Super‐Slippery Flush Toilets Fabricated by a Selective Laser Sintering 3D Printing Technology - Li - Advanced Engineering Materials - Wiley Online Library
https://doi.org/10.1002/adem.202300703


Nothing sticks: New silicon-infused 3D printed toilet bowl repels all
https://techxplore.com/news/2023-08-silicon-infused-3d-toilet-bowl-repels.html

華中科技大学のYike Li氏らは、プラスチックと疎水性の砂粒を組み合わせ、そこにシリコンベースの油を注入した新素材を開発しました。新素材でできたトイレを、Li氏らは「abrasion-resistant super-slippery flush toilet:ARSFT(摩耗に強くとても滑りやすい水洗トイレ)」と名付けています。


ARSFTに用いられている素材・ARSSに汚れがどれだけ付着しにくいのかは、論文の資料として公開されたムービーを見るとはっきりとわかります。以下は、公開されたムービーのうち特にわかりやすかったものを組み合わせたムービーです。

摩耗に強くすごく滑りやすい水洗トイレ「ARSFT」の性能とは? - YouTube


泥水や牛乳、ヨーグルト、ハチミツ、八宝粥に連続して浸していくのですが、表面はずっとさらっとした状態に見えます。


続いては、カッターナイフで表面に傷をつけています。


この状態で表面に色つきの水滴を垂らしても、見事にはじかれます。


今度はやすりで表面を削ります。


それでも水滴ははじかれました。


合成糞便を用いて新素材の表面がどれだけ滑りやすいかということも示されています。これは高疎水性素材を用いて作られたトイレに合成糞便を落としたところ。2倍速でも合成糞便は便器にへばりついています。


一方、ARSFTだと、合成糞便は落とした瞬間に下まで滑り落ちていきます。


合成糞便の濃度を変えての実験も行われました。濃度が40wt%の合成糞便は便器につくと少しゆっくりと滑っていきます。


一方、80wt%の合成糞便は便器にくっつく間もなく転げ落ちていきました。


摩耗にも強いことは名前になっている通り。まず、サンドペーパーを用いて15サイクルの研磨を実施。


その後に合成糞便を落としても、問題なく滑っていきました。


さすがに1000サイクルの研磨では表面に傷がついたのか、合成糞便は表面にこびりついてストップ。


しかし、補助の潤滑剤をかけるとぬるっと滑っていきました。


そしてその後はほとんど元通りに、合成糞便は表面を滑り落ちていくようになりました。


合計8リットルの水をかける試験も実施。


その後でも合成糞便は問題なく流れました。


Yike Li氏らは、トイレの汚れだけを問題にしたわけではなく、水洗トイレの使用により1日でアフリカの人口全体の消費量の6倍に相当する1410億リットルの水が消費されていることを挙げ、ARSFTは「無駄な水」の問題にも対処できると述べています。

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in メモ,   動画, Posted by logc_nt

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