食べ物の匂いを嗅いでも食中毒菌の有無を判別することは不可能
肉や魚などの生鮮食品や冷蔵庫に保存していた料理を食べる際に、匂いを嗅いで安全かどうか確認しようとした経験がある人は多いはず。しかし、クアドラム研究所でリステリアについて研究しているマシュー・ギルモア氏は匂いで食中毒菌の有無を確認することは不可能だと指摘しています。
The sniff test is not reliable for food safety – here's why
https://theconversation.com/the-sniff-test-is-not-reliable-for-food-safety-heres-why-211808
食中毒の多くはサルモネラ菌やノロウイルスといった病原体によって引き起こされます。しかし、ギルモア氏によると、病原体を匂いで検出することは不可能とのこと。
パン作りに使用する酵母が増殖に伴って良い芳香を放つように、細菌の中には匂いを放つものも存在します。しかし、サルモネラ菌やリステリアといった食中毒の原因となる細菌は匂いを放たないとのこと。また、サルモネラ菌は食材の内部に潜伏しているため、例え細菌の匂いをかぎ分けることが可能だったとしてもサルモネラ菌の検出は不可能だとギルモア氏は指摘しています。
一方で、食材の「腐った臭い」は簡単に嗅ぎ分けられます。納豆やチーズなどの発酵食品が存在するように、腐った臭いがするからといって食品が安全でない状態とは限りません。それでも、ギルモア氏は野菜や牛乳などの食材の安全性を確認する際は匂いを嗅ぐこともアリだと指摘しています。
ギルモア氏によると、食中毒の多くは「腐った食材」ではなく「病原体が付いた食材」が原因で発生しているとのこと。このため、食材を安全に楽しむには「匂いを嗅ぐ」よりも「適切な温度で保存する」「適切な時間加熱する」といった対策が重要だとギルモア氏は主張しています。
なお、厚生労働省は細菌性の食中毒を予防する原則として「細菌を食べ物につけない」「食べ物に付着した細菌を増やさない」「食べ物や調理器具に付着した細菌をやっつける」の3点を挙げています。厚生労働省による食中毒予防方法の解説は以下のリンク先で確認できます。
家庭での食中毒予防|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01_00008.html
・関連記事
「鶏肉を水で洗ってはいけない」と専門家が警告 - GIGAZINE
職場で共用のカップやスプーンを使うのは衛生的に絶対避けるべき - GIGAZINE
「生のままクッキー生地を食べると危険」とアメリカ食品医薬品局が警告 - GIGAZINE
「解凍した肉の再冷凍はNG」など食の安全にまつわる間違い5選 - GIGAZINE
・関連コンテンツ