AWSがパブリックIPv4アドレスの利用を有料化すると発表、同時に「パブリック IPv4 インサイト」の無償提供も開始される

Amazonのクラウドコンピューティングサービス「Amazon Web Services(AWS)」が、2024年2月1日より全てのIPv4アドレスの利用に対して従量課金を開始すると発表すると同時に、IPv4アドレスの利用状況を確認できるツール「パブリック IPv4 インサイト」の提供を開始しました。

新着情報 – パブリック IPv4 アドレスの利用に対する新しい料金体系を発表 / Amazon VPC IP Address Manager が Public IP Insights の提供を開始 | Amazon Web Services ブログ
https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/new-aws-public-ipv4-address-charge-public-ip-insights/

IPアドレスはインターネットで通信を行う際に相手を特定するのに使用されています。IPv4のアドレス空間は32ビットであり、全部で約43億個のIPアドレスしか振り分けることができないため、インターネット人口の増加とともに新規に振り分けるIPアドレスが枯渇していく問題が発生しています。

IPv4アドレスがますます希少になっており、過去5年間で取得コストが300％以上も上昇していることを受けて、AWSはすべてのIPv4アドレスの利用に対して2024年2月1日より従量課金を開始すると発表しました。これまでも、アカウントに静的なIPアドレスを振り分ける「Elastic IP アドレス」サービスを利用してIPアドレスを確保しつつ、そのIPアドレスを利用していなかった場合や、EC2インスタンスに複数のIPアドレスを割り当てていた場合には料金が発生していましたが、2024年2月1日以降はその料金と同額の1時間あたり0.005ドル(約0.71円)がすべてのIPv4アドレスの利用に発生します。

IPv4アドレス1個につき1か月あたり約500円、1年間では約6000円の料金が発生することになります。この変更と同時にAmazon EC2の無料利用枠へ「最初の12か月間、月間750時間のパブリック IPv4 アドレス利用」が追加されるとのこと。EC2に自動で割り振られるIPv4アドレスのほか、Elastic Load Balancer、NAT gateway、AWS Global Acceleratorなどのサービスに割り振られるIPv4アドレスにも料金が発生する点に注意が必要です。この変更はAmazonが所有するIPv4アドレスのみに適用され、Amazon BYOIPを利用してユーザーがAWSに持ち込んだIPアドレスには料金が発生しません。

今回の発表と同時に「AWS コストと使用状況レポート」においてパブリックIPv4アドレスの使用量が確認可能になっているほか、Amazon VPC IP Address Manager (IPAM)にIPv4アドレスの使用状況を簡単に監視・分析・監査できるツール「パブリック IPv4 インサイト」が追加されています。

パブリック IPv4 インサイトを利用するには、AWSにログインし、上部の検索欄に「ip address」と入力して「機能」欄にある「Amazon VPC IP Address Manager」をクリック。

左のメニューから「パブリック IPv4 インサイト」をクリックすると、表示中のリージョンで利用されているIPv4アドレスの状況を一目で確認できる画面が表示されます。

また、具体的にIPアドレスごとの状況を確認できる表も提供されています。

IPアドレスをクリックすると、「どのリソースと紐付いているのか」や「適用されているセキュリティグループ」を確認可能となっています。

2024年2月1日の有料化以降はAWS Cost Explorerでも使用量を確認可能になる予定とのこと。なお、IPv4アドレスを効率的に利用する方法のブログ記事やIPv6を利用してシステムを構築する方法に関するドキュメントが用意されているので、気になった人は確認してみてください。