サイエンス

1988年からずっと宇宙で何かが約22分ごとに光り続けている


2023年7月19日、国際電波天文学研究センターの研究者らが新たな天体についての論文を提出しました。この中で、奇妙な電波を定期的に発する謎の天体についての知見が共有されています。

A long-period radio transient active for three decades | Nature
https://doi.org/10.1038/s41586-023-06202-5


Something in space has been lighting up every 20 minutes since 1988 | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2023/07/new-slow-repeating-radio-source-we-have-no-idea-what-it-is/

研究者らが観測した「GPM J1839-10」という新しい天体は、パルス状の電波やX線等を発する「パルサー」のような動きをし、定期的に電波のバーストエネルギーを出しているとのこと。

パルサーは磁極で電波エネルギーを放出しますが、星の自転によって磁極が地球を横切る形で振れ、磁極のひとつが地球と一直線に並ぶたびに電波の閃光が走るように見えます。


しかし、GPM J1839-10はパルサーとは少し違った動きをしているそうです。通常、パルサーの閃光が発する間隔は1分からミリ秒と非常に短いですが、今回の天体は約1320秒(約22分)の間隔で電波を発しています。

電波を発生させる磁場は星の自転によって発生するため、もし自転が遅すぎると地球から見えるほどの大きな電波を発生させることはできません。そのため、パルスの間隔が1分以上かかるものは通常確認できないそうです。


観測により、GPM J1839-10の電波バーストには約1320秒の周期の中で約400秒の空白期間が生まれ、その期間中いずれかのタイミングで30秒から300秒の電波バーストが発生することが分かっています。活動中はGPM J1839-10の強度は変化し、強い信号の中に弱い信号が複数含まれているような動きを見せますが、時折バーストのない空白期間も存在します。

研究者らがアーカイブデータを検索したところ、同様の現象は1988年までさかのぼることができたため、このバーストを発生させている現象は一過性のものではないということが確認されています。ただし、このような挙動を起こすことができる既知の天体はほとんどないそうです。


可能性はいくつも考えられますが、そのひとつは、GPM J1839-10は異常に強い磁場を持つ白色矮星だというものです。これらの天体は非常に大きいので回転するのに時間がかかり、電波バーストの間隔が長いのも納得ができるというわけです。しかし、周期的に発光する天体はこれまでにわずか1つしか観測されておらず、GPM J1839-10よりもはるかに少ないエネルギーしか出力していないことから、また別の何かである可能性も十分あり得るそうです。

今後さらなる知見を深めるため、バーストのオンとオフの状態を確実に捉える必要があるほか、似たような天体を探すことが必要になるとのことです。

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in サイエンス, Posted by log1p_kr

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