名門・カーネギーメロン大学が長らく入学基準の1つに入れていた「志願者が卒業生の関係者かどうか」を考慮しない方針に変更
アメリカの大学は志願者の入学決定基準がどういったものかを共通データセットとして公開しています。この公開データにより、長らく「志願者と卒業生との関係」も決定基準に関係していることがわかっていましたが、名門・カーネギーメロン大学がこの基準を「考慮しない」方針に変更したことが明らかになりました。
Children, relatives of alumni no longer have admissions edge at Carnegie Mellon, Pitt | TribLIVE.com
https://triblive.com/news/children-relatives-of-alumni-no-longer-have-admissions-edge-at-carnegie-mellon-pitt/
アメリカでは、大学でどういったことを学べるのか、どういった志願者を重視しているのかといった情報をまとめた「共通データセット(Common Data Set:CDS)」が作られていて、大学が自らの公式サイトで情報を公開しています。
ペンシルバニア州ピッツバーグにあるカーネギーメロン大学も、過去のものも含めたCDSを公式サイトで一般公開しています。
Carnegie Mellon Common Data Sets - Institutional Research and Analysis - Office of Institutional Effectiveness and Planning - Carnegie Mellon University
https://www.cmu.edu/ira/CDS/index.html
2022年~2023年の最新版CDSはこんな感じ。
Carnegie Mellon University Institutional Research and Analysis
(PDFファイル)https://www.cmu.edu/ira/CDS/pdf/cds_2022_23/common-data-set-2022-2023.pdf
大学の名称や所在地、公式サイトのURLといった基本的な情報から細かいところまで掲載されています。
7ページ目は新入生に関する質問項目。「入学決定における次の学術的要素・非学術的要素の相対的重要性」について質問していて、大学が「とても重要」「重要」「考慮する」「考慮しない」の4つの選択肢で回答しています。ペンシルバニア州西部を中心とした地元情報を扱うTribliveが注目したのは、非学術的要素のうち「卒業生との関係」の項目で、カーネギーメロン大学は「考慮しない」と回答しています。
これまで、エリート大学は志望者が卒業生とどういう関係なのかを「考慮しない」ことはありませんでした。カーネギーメロン大学も、かつては「重要」と回答していました。
Tribliveからの問い合わせに対して、カーネギーメロン大学の広報担当であるピーター・カーウィン氏は「志願者は、(卒業生との関係を含む)レガシーステータスに関係なく、同じ基準で評価されます。本学は、すべての学生の入学プロセス全体を通じて、公平性を確保するためにこれを行っています」と回答しました。
かつてカーネギーメロン大学で入学審査を担当したマイク・シュタイデル氏はTribliveの取材に対して「レガシーステータスの後押しが必要な時期もあったと思いますが、時間の経過とともに志願者プールの質が向上して、実際には後押しの必要がないほどになっていきました」とコメントしています。
同じように、ピッツバーグ大学も2022年~2023年のCDSから、新入生と卒業生との関係を「考慮しない」にしています。
ピッツバーグ大学の広報担当であるジャレッド・ストーンサイファー氏によると、CDSではここ数年も「考慮する」と表記されていたものの、内実としては2020年から「考慮しない」状態だったとのことです。
その原因として、ストーンサイファー氏は2019年に明るみに出た入学スキャンダルを挙げています。この騒動は、アスリートとして能力が足りない志願者をコーチに賄賂を送ることで入学させたというもので、連邦捜査局は「Operation Varsity Blues」と名付けて捜査を行いました。逮捕された関係者は50人、贈収賄で動いた金額は6億円以上となっています。
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なお、カーネギーメロン大学と同様にカリフォルニア工科大学やマサチューセッツ工科大学はレガシーステータスを考慮しませんが、一方でコーネル大学やデューク大学、エモリー大学、ノースウェスタン大学、プリンストン大学、レンセラー工科大学、ライス大学、スタンフォード大学、セントルイス・ジョージア大学では考慮されるといったように、対応はさまざまです。
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