世界最小のガラス製ワイングラスが製造される、ミクロンレベルのガラス3Dプリント技術で医療分野やネットワーク分野での活用に期待

スウェーデン王立工科大学の研究チームが世界最小の石英ガラス製ワイングラスを作成することに成功しました。ワイングラスの作成には新手法の3Dプリント技術が用いられており、医療機器やネットワーク機器、極小ロボットなどの開発に応用できるとのことです。
Three-dimensional printing of silica glass with sub-micrometer resolution | Nature Communications
https://doi.org/10.1038/s41467-023-38996-3

Researcher 3D prints world's smallest wineglass with new method | KTH
https://www.kth.se/en/om/nyheter/centrala-nyheter/1.1263296
世界最小のワイングラスを電子顕微鏡で撮影した写真が以下。写真右下の黒いバーは1マイクロメートルのスケールバーです。ワイングラスの縁は人間の髪の毛の幅よりも薄く、肉眼ではほとんど見えません。

世界最小のワイングラスは石英ガラスを3Dプリントすることで作成されています。石英ガラスの3Dプリント技術はこれまでにも存在していましたが、既存の技術では材料をプリントした後に1200度で焼結するプロセスが必要であり、「焼結時に大幅な収縮が発生する」「プリント先の素材が制限される」という問題が存在していました。
研究チームは「水素シルセスキオキサン(HSQ)にサブピコ秒パルスレーザーを照射し、露光していない部分を水酸化カリウム水溶液で除去する」という手順で石英ガラスを3Dプリントする技術を開発。これにより、焼結プロセスの必要なしにワイングラスなどの物体を作成できるようになりました。

研究チームはワイングラスだけでなく「光ファイバー用の光共振器」も作成しています。研究チームの一員であるクリスティン・ギャルファソン氏は「インターネットはガラス製の光ファイバーをバックボーンとしています。私たちが開発した技術により、光ファイバーに必要な多様なフィルターやカプラーを製造できるようになりました。この技術は多くの新しい可能性を切り開くものです」と述べています。

また、研究チームの一員であるフランク・ニコラス氏は、今回開発された3Dプリント技術が「低侵襲手術のための医療用レンズ」「極限環境で活動するマイクロロボット」「光ファイバー用のフィルターおよびカプラー」などの用途に活用できると語っています。
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in サイエンス, Posted by log1o_hf
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