フリーマーケットで飾りとして売られていた鋳造ブロンズ製の筒が貴重な中世のハンドキャノンと判明
木製の棒の先に金属製のバレルを取り付け、火薬に点火して鉄球や石などを発射する「ハンドキャノン」は、ヨーロッパにおいて14世紀から15世紀にかけての戦争で用いられました。そんなハンドキャノンのバレルがイギリスのフリーマーケットで発見され、オークションで2000ポンド(約36万7000円)で落札されました。
Very Rare Late Medieval Cast Bronze Hand-Cannon (Found in England) 17cm long, 4cm to 3cm diameter, 1.7cm bore.
https://hansonslive.hansonsauctioneers.co.uk/m/lot-details/index/catalog/395/lot/182444
Medieval cannon turns up in garden rockery - and it could blow up bidding at auction - Hansons Auctioneers
https://hansonsauctioneers.co.uk/medieval-cannon-turns-up-in-garden-rockery-and-it-could-blow-up-bidding-at-auction/
Flea market find is medieval hand cannon – The History Blog
http://www.thehistoryblog.com/archives/67580
13世紀に中国で発明されたと考えられているハンドキャノンは、ヨーロッパには14世紀になって導入されました。14世紀半ばのヨーロッパで用いられていたハンドキャノンの一種である「ロシュルト銃」は、合計1.8kgの矢を射出した場合毎秒63m~87mの速度で約205~360mの範囲に飛ばすことが可能でした。また、184gの鉛玉を発射した場合、毎秒110m~142mの速度を達成し、約630mの範囲に拡散させることに成功したとされています。ハンドキャノンはその後、火縄銃やアーキバスに進化したとのこと。
今回イギリスで発見されたハンドキャノンのバレルは、長さが17cmで幅4cm、口径は1.7cmの鋳造ブロンズで作られています。バレルの発見者によると、イギリスのハートフォードシャーで行われたフリーマーケットで20ポンド(約3670円)以下で売られているのを発見。フリーマーケットの売り手はバレルの正体を知らず、庭の装飾として販売していたとのこと。
ハンソンズ・オークショニアの鑑定士が鑑定を行ったところ、このハンドキャノンは1400年~1450年の中世後期ヨーロッパで使用されたもので、もともとこのハンドキャノンには火薬袋とラムロッドが付いた木製の棒に取り付けられていたことが判明しました。
ハンソンズ・オークショニアーズのオーナーであるチャールズ・ハンソン氏は「骨とう品業界には20年以上携わってきましたが、同じようなものを見たことがありません。これは驚くべき発見です」と述べています。また、「元の売り手がどのようにハンドキャノンを発見したのか定かではありませんが、付着した土を見る限り、どこかから掘り起こされたのではないかと思います」と語っています。
ハンソンズ・オークショニアーズに持ち込まれたこのハンドキャノンは2023年6月15日にオークションにかけられ、フリーマーケットでの販売価格の100倍以上となる2000ポンド(約36万7000円)で落札されています。
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