Acerがロシアとの取引停止宣言後に総額98億円のハイテク製品を供給していた
ロシアがウクライナへの侵攻を開始して以降、多くの国や企業がロシアへの製品出荷停止措置を続けています。PCメーカーのAcerも2022年4月にロシアとの取引停止を宣言していたのですが、宣言後に7040万ドル(約98億円)を超えるAcer製ハードウェアがロシアへ出荷されたことが明らかになりました。
Exclusive: Taiwan's Acer ships computer hardware to Russia after saying it would suspend business | Reuters
https://www.reuters.com/technology/taiwans-acer-ships-computer-hardware-russia-after-saying-it-would-suspend-2023-06-08/
Acerは台湾に本社を構える企業で、日本でもPCやディスプレイなどのハードウェアを展開しています。そんなAcerは2022年4月8日に決算報告を行った際に「最近の状況を考慮して、ロシアでの事業を停止します」と述べ、ロシアでの事業停止を宣言していました。
Acer Reports Q1 2022 Preliminary Consolidated Revenues of NT$78.37 Billion, Highest in 9 Years
https://news.acer.com/acer-reports-q1-2022-preliminary-consolidated-revenues-of-nt7837-billion-highest-in-9-years
しかし、ロイターの報道によると2022年4月8日~2023年3月31日にAcerからロシアへ少なくとも7040万ドル(約98億円)の製品が渡っていたことが明らかになったとのこと。また、Acerによるロシアへの製品出荷はスイスにある子会社を通じて実施されたことも判明しました。
Acerの本拠地である台湾は2022年4月6日にPCなどのハイテク機器を含む対ロシア輸出規制措置を発表しています。一方でスイスでは台湾と比べて緩い規制しか実施されておらず、スイスのAcer子会社から出荷されていた製品はスイスの規制の影響を受けないものに限られていたとのこと。このため、Acerは何らかの法律に違反したわけではありません。
なお、「スイスによる対ロシア制裁が緩すぎるのではないか」という指摘はG7各国から寄せられていますが、スイスは「スイスは中立かつ主権国家として法を尊重し、断固として不正に反対する姿勢を一貫している。国際法に違反したロシアのウクライナに対する攻撃から4日後にEUの制裁措置に加わり、また、その後のEUの追加制裁措置にも短期間で加わっていることはその証左」と述べ、適切な制裁を科していると反論しています。
スイス、ロシア制裁の抜け穴とのG7書簡へ反論(スイス、ウクライナ、ロシア) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ
https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/04/3474a95ed91db9f1.html
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