「自転車が走る仕組み」がマウスで操作するだけで直感的に理解できるウェブサイト「Bicycle」
交通の足として日常的に自転車に乗っている人も多いはず。しかし自転車がどんな仕組みで走っているのかはイメージしにくいものです。そんな「自転車が走る仕組み」を、マウスでスライダーを操作しながら学べるウェブページ「Bicycle」がこれまで「音」の仕組みやGPSの仕組みを解説してきたエンジニアのBartosz Ciechanowski氏によって公開されています。
Bicycle – Bartosz Ciechanowski
https://ciechanow.ski/bicycle/
エンジンなどの複雑な動力と比較すると、自転車はかなり単純な機械で、パーツが動いている様子は目視で確認できます。しかし、自転車に乗って制御することを可能にする「力」は目に見えません。以下の図では黄色のスライダーを動かすことで自転車の走行方向を左右に曲げることができます。
自転車が走る仕組みはさまざまな力が複雑に絡み合っているため、まずは垂直方向の力を知ることが重要とのこと。以下の図では黄色のスライダーを左右に動かすと、自転車に乗っているモデルの姿勢を変えることが可能で、その際に変化する力の大きさを確認できます。上体を上げ、背筋を伸ばすと自身の上体の重量と反作用する反力が大きくなるとともに、後輪にかかる重量や反力も大きくなります。一方で上体を前方に倒すと、前輪にかかる重量や反力が大きくなります。
急に上体を起こすなど、力のモーメントのバランスが取れなくなるような運動は避け、前輪と後輪のバランスを取ることで自転車は転倒せずに走ることができます。
上記のモデルは自転車のペダルを踏まない惰性走行時のモデルでした。実際には自転車に乗る際、前進するためにはペダルを踏み続けなければいけません。自転車のペダルを踏むと、スプロケットに作用するトルクが生み出されます。さらにスプロケットがつながれたチェーンを引っ張ることで後輪のスプロケットに作用して、地面を蹴って押し戻そうとする力が生まれます。
タイヤと道路の間の摩擦によって、タイヤホイールの下部が地面と接触したままになります。その際にタイヤが回転すると車輪が地面を左に押し、その反作用で地面から右に押し返されることで自転車は前進することができます。
一方で走行中にブレーキをかけた場合、ブレーキレバーがケーブルを引っ張り、ケーブルにつながれたアームがブレーキパッドをタイヤホイールに押し付けます。
タイヤに押し付けられたブレーキパッドは摩擦を発生させ、タイヤが地面を前方に押す力、タイヤが地面を前方に押す力が生まれ、同時にタイヤと自転車全体を後ろに押す反作用が発生します。
走行中にブレーキをかけると、自転車は時計回りに回転しようとするため、前輪への負荷が大きくなります。その際に前輪ブレーキを強くかけると、後輪にかかる負荷がなくなり、転倒してしまいます。灰色のスライダーを右側へ動かすと、前輪ブレーキを強くかけた結果、後輪が浮き上がっていることが確認できます。そのため自転車の速度を落とす際には後輪ブレーキもしくは前輪ブレーキとの併用が推奨されています。自転車の速度を落とす力としては、ブレーキの他に空気抵抗や上り坂が挙げられています。
ハンドルを真っすぐ持っている場合、バランスを崩すと自転車は倒れてしまいます。以下の図では黄色のスライダーを動かさずに放置すると、左右に勝手に自転車が倒れてしまいます。
また、自転車が倒れている最中に上体を傾けてバランスをとることは難しく、以下の図では黄色のスライダーを動かして体を傾けても結局倒れてしまうことが確認できます。
そこで、自転車が倒れそうなときは、ハンドルを左右に傾けることで転倒を回避することができます。
さらにハンドルを左右に傾けると、タイヤに横方向の力が加わり、旋回することが可能です。以下の図では灰色のスライダーを動かすことで、タイヤにかかる力とタイヤの向きを確認することができます。
自転車が安定して走行するためには「ジャイロ効果」と呼ばれる性質が重要です。ジャイロ効果によって、自転車が走行中に急に転倒することが少なくなります。以下の図では灰色のスライダーを動かすと、短い間人間が乗っていなくても直進することが示されています。また安定性は自転車の速度にも大きく依存するとされており、速度が遅すぎたり速すぎたりする自転車は不安定になる可能性があります。
その他にも自転車にはタイヤ外周のリムと中心をつなぐスポークにかかる力があります。緑のスライダーを動かすことで、タイヤにかかる左右の力がスポークに与える負荷を確認することができます。スポークは通常走行時に破損しないよう、十分な強度がありますが、負荷が限界を超えた場合ホイールが折れ曲がるなどの破損が発生することもあります。
自転車のフレームには人間の体重がかかるため、細いフレームの場合、荷重に耐えられず大きくたわんでしまいます。以下の図では赤色のスライダーを動かすことで自転車にかかる荷重を調整し、青色のスライダーを動かすことでフレームの剛性を調整することができます。
上記のデモはBicycleに含まれるデモの一部で、Bicycleにアクセスすると大量のデモに触りながら自転車の仕組みを理解できます。気になった人はアクセスしてみてください。
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