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イーロン・マスクはツイート表示回数の低下に納得できず「あなたの注目度が落ちただけ」と説明したTwitterのエンジニアを解雇

by Daniel Oberhaus

Twitterのイーロン・マスクCEOはさまざまな収益改善策を打ち出していますが、多くの広告主がTwitterから離れ収益が悪化していることが報じられているほか、無料APIの制限「おすすめ」タブの表示といった変更で既存ユーザーからの批判を浴びています。そんな中、マスク氏は自身のツイートのインプレッション(表示回数)が低下していることに疑問を抱いており、「マスク氏の注目度が落ちたことに伴ってインプレッションも低下しているだけ」と説明したTwitterのトップエンジニアを解雇したと、海外メディアのPlatformerが報じています。

Elon Musk fires a top Twitter engineer over his declining view count
https://www.platformer.news/p/elon-musk-fires-a-top-twitter-engineer

Elon Musk Seems to Think His Own Employees Are Shadowbanning Him
https://gizmodo.com/elon-musk-twitter-engineers-shadowban-engagement-1850096392

Elon Musk’s reach on Twitter is dropping — he just fired a top engineer over it - The Verge
https://www.theverge.com/2023/2/9/23593099/elon-musk-twitter-fires-engineer-declining-reach-ftc-concerns

Twitterでは2022年12月から、「ツイートのインプレッションを表示する機能」が追加され、ツイート下部に「リツイート」「いいね」などと並んでインプレッションが表示されるようになりました。これにより、ユーザーは一目でそのツイートがどれだけ表示されたのかを知ることができます。

Twitterで「ツイートの表示回数」が表示されるように - GIGAZINE


Platformerによると、ここ数週間のマスク氏は自身のツイートが獲得したインプレッションが、想定よりも少ないことに不満を持っているとのこと。2023年2月2日には、「非公開アカウントによるツイートが公開ツイートよりも多く表示されるアルゴリズムの不具合をテストするため」として、自身のアカウントを非公開にしたことも話題となりました。

イーロン・マスクが自身のアカウントを非公開に設定してTwitterのアルゴリズムのテストを実施 - GIGAZINE


マスク氏は2月7日に、TwitterのエンジニアとアドバイザーのグループをTwitter本社の一室に集め、自身のインプレッションが低下している理由について答えを求めたとのこと。Platformerに情報を提供した複数の関係者によると、マスク氏は「これはばかげています」「私には1億人以上のフォロワーがいますが、数十万件のインプレッションしか得られていません」と述べたそうです。

実際にマスク氏のアカウントを見てみると、過去1カ月間に投稿したツイートのインプレッションは800万~7000万件程度であり、会議で訴えたほど少ないわけではありません。確かにインプレッションはフォロワー数よりもかなり少ないですが、フォロワー数の多いアカウントほどインプレッションがフォロワー数より少なくなる傾向があるため、マスク氏だけが特殊というわけでもないと思われます。

会議に集められた従業員はマスク氏に対し、アカウントのエンゲージメントに関する内部データや、Googleトレンドで「elon musk」というワードの検索数推移を見せて説明を行いました。あるトップエンジニアは、2022年4月の時点で「elon musk」の検索数がピークに達したものの、2023年2月の時点ではピーク時を「100」とすると「9」まで低下しており、マスク氏の注目度が落ちていることを示したとのこと。


ところがマスク氏はこの指摘を受け止めず、「解雇だ、解雇だ!」と言ってそのエンジニアを解雇したとPlatformerは報じました。Platformerは、マスク氏が元Twitter従業員に嫌がらせをする可能性があるため、従業員の名前を公開することを差し控えたと述べています。

マスク氏のインプレッション低下については、注目度の低下だけでなくTwitterユーザーの減少が関与している可能性もあります。2023年1月に公開されたレポートによると、2022年10月から2023年1月にかけてアメリカのアクティブなTwitterユーザーは9%減少したとのことです。PlatformerはTwitterの情報筋からの証言として、インプレッションを表示したことでリツイートやいいねのアイコンが小さくなってタップしにくくなり、結果としてインプレッションが低下した可能性があると指摘しています。

さらにPlatformerは、一部で「改悪」とも呼ばれるTwitterの変更やさまざまな不具合により、ユーザーが混乱していることもインプレッションの低下につながっていると主張しています。2月8日には世界的に「1日のツイート送信制限を超えた」「フォロー上限に達した」といった警告が表示され、ツイートやフォローができない不具合が報告されました。Twitterヘルプセンターの「現在のTwitterリミット」の項目を見ると、1日あたりのツイート数の上限は2400件、フォロー数の上限は400件となっていますが、2月8日にユーザーへ送信された通知は明らかに誤りでした。

Twitterで日本を含め世界的な障害が発生、「1日のツイート送信制限を超えた」とのエラーメッセージ - GIGAZINE


Platformerは誤った警告が表示された理由について、「Twitter使用のリミットを設定する社内サービスのデータを、従業員がうっかり削除していたことが判明しました。このサービスに携わっていたチームは2022年11月に同社を離れています」と説明しています。Twitterでは大規模な人員整理と配置変更が行われており、その結果として後任の従業員がコードについて十分な理解を持つ猶予がないまま、重要な作業を行わざるを得ない状態となっているようです。

また、Twitterの従業員はマスク氏からの質問を受けた際、「正しい答え」と「安全な答え」のどちらを述べるかで葛藤しているとのこと。Platformerに証言した従業員は、「質問を受けたら頭の中で『今、この質問に対して一番安全な返事は何だ?』と考えるのです」と述べています。これ以外にも、Twitterではマスク氏が就任してからさまざまな特典が廃止され、かつて活発に動いていたSlackも「ゴーストタウン」状態となり、転職の準備を進める従業員も多いことが報じられています。

なお、テクノロジー系メディアのGIZMODOは、「非公開アカウントでもインプレッションが生じる」という指摘についても言及しています。日刊紙ワシントン・ポストの記者であるテイラー・ローレンツ氏は2月10日、フォロワー数ゼロの非公開アカウントでもツイートから1分以内に「59」のインプレッションが生じたと報告しました。これは、非公開アカウントのツイートが実は公開されているか、表示されたインプレッションが水増しされている可能性を示唆するものです。

In case you need proof that view counts on Twitter aren’t accurate:

I have a locked, private account with ZERO followers for reporting purposes. I just posted these two tweets. Check the view counts. One tweet I posted on my private acct less than 1 min ago already has 59 views pic.twitter.com/cNVrRWCZ4u

— Taylor Lorenz (@TaylorLorenz)

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in ネットサービス, Posted by log1h_ik

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