サイエンス

高血圧の最も一般的な原因の検出と治療が10分間のスキャンで可能であることが判明


ロンドン大学クイーン・メアリー校と聖バーソロミュー病院、ケンブリッジ大学病院の医師が、新しいタイプのCTスキャンを使い、ホルモン腺の小さな結節に光を当て、それを除去することで高血圧を治療する研究を行いました。

[11C]metomidate PET-CT versus adrenal vein sampling for diagnosing surgically curable primary aldosteronism: a prospective, within-patient trial | Nature Medicine
https://doi.org/10.1038/s41591-022-02114-5

- Queen Mary University of London
https://www.qmul.ac.uk/media/news/2023/smd/ten-minute-scan-enables-detection-and-cure-of-the-commonest-cause-of-high-blood-pressure.html

高血圧のほとんどの人は原因が不明で、薬による生涯の治療が必要な状態だそうです。これまでの研究により、高血圧の5~10%の人は、副腎の遺伝子変異が原因でステロイドホルモンであるアルドステロンが過剰に生成されていることが分かっています。このように高血圧の原因の1つである原発性アルドステロン症は副腎手術によって治癒、あるいは大幅に改善することができますが、標準的な術前検査がカテーテル検査などの侵襲的なものであるため、副腎疾患患者の1%以下しか治癒のチャンスがないのが現状だとのこと。

この症状に対する非侵襲的検査として、メトミデートポジトロンCTスキャンと副腎静脈サンプリングという2つの検査方法があるとのこと。ロンドン大学クイーン・メアリー校などのチームは、メトミデートポジトロンCTスキャンに焦点を当て、これら2つの検査方法の正確さを比較する研究を行いました。


高血圧の原因が原発性アルドステロン症であることが判明した患者128人を対象にチームが検査を行ったところ、アルドステロンの分泌が増加している患者の3分の2は、増加の原因が副腎のひとつにある良性の結節に由来することが分かったとのこと。このことを把握した上で、アルドステロン産生結節のみに付着するメトミデートを用いたメトミデートポジトロンCTスキャンを行ったことで、結節を安全に除去することができたそうです。

このスキャンは従来のカテーテル検査と同等の精度を持ちながら、迅速かつ無痛で、すべての患者で技術的に成功したとのこと。

本研究の共同研究者であり、ロンドン大学クイーン・メアリー校の内分泌高血圧学教授であるモリス・ブラウン教授は「アルドステロン産生結節は非常に小さく、通常のCTスキャンでは簡単に見落とされてしまいます。しかしながら、メトミデートを注射をした後で数分間光らせることにより原因が分かり、大抵はその後に治療することができます。検査の難しさから診断されることがなかった病気が、変わろうとしていることに期待しています」と述べました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「頻繁に昼寝する人」は高血圧や脳卒中を発症する可能性が高いという研究結果 - GIGAZINE

高血圧のリスクを防ぐためには週に何時間運動すればよいのか? - GIGAZINE

高血圧を和らげるには「ウォーキングよりもストレッチが良い」という研究結果 - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by log1p_kr

You can read the machine translated English article here.