サイエンス

宇宙で太陽光発電してワイヤレスで送電するプロジェクト「SSPP」が2023年1月3日から稼働開始


カリフォルニア工科大学の宇宙太陽光発電プロジェクト(SSPP)は2023年1月3日に、宇宙太陽光発電実証機(SSPD)をSpaceXのファルコン9で軌道上に打ち上げました。このSSPDは宇宙で太陽光発電を行い、そのエネルギーを地球に伝送する計画をテストするための試作機となっています。

SpaceX - Transporter 6 (Dedicated SSO Rideshare) - Falcon 9 Block 5 Rocket Launch
https://www.spacelaunchschedule.com/launch/falcon-9-block-5-transporter-6-dedicated-sso-rideshare/

Caltech to Launch Space Solar Power Technology Demo into Orbit in January | www.caltech.edu
https://www.caltech.edu/about/news/caltech-to-launch-space-solar-power-technology-demo-into-orbit-in-january

SSPPは2011年に発足したプロジェクトで、カリフォルニア工科大学理事会の終身メンバーで慈善家のドナルド・ブレン氏が宇宙太陽光発電の可能性を追求するために立ち上げたものです。


ブレン氏は「何年もの間、宇宙太陽光発電が人類の最も差し迫った課題のいくつかを解決できることを夢見てきました。今日、その夢を実現しようと競争するカリフォルニア工科大学の優秀な科学者をサポートできることを嬉しく思います」と述べています。

打ち上げられたSSPDがどんなものなのかは以下のムービーで見ることができます。

Space Solar Power Demonstrator - YouTube


SSPDはこんな感じ。
https://i.gzn.jp/img/2023/01/10/space-solar-power-project/s00002.png
https://i.gzn.jp/img/2023/01/10/space-solar-power-project/s00002_m.png

2023年1月3日にSSPDを打ち上げたTransporter-6ミッションでは、主に以下の3つの実験が行われます。

DOLCE(Deployable on-Orbit ultraLight Composite Experiment):モジュール式宇宙船から6フィート(約1.8m)×6フィートの構造体を展開する実験。最終的には1キロメートル四方規模の発電装置を展開することを目指す。


ALBA:32種類の太陽電池セルを用意し、過酷な宇宙環境で最も効率的なセルを評価する実験。


Microwave Array for Power-transfer Low-orbit Experiment(MAPLE):電力をマイクロ波に変換し、遠隔に送信する実験。


SSPPの共同ディレクターであるAli Hajimiri氏は「何が起ころうとも、このプロトタイプは大きな前進です。SSPDは地球上で動作し、宇宙への打ち上げに際して要求される厳格な手順をすべてクリアしています。まだリスクは山積みですが、全プロセスを経たことで、私たちは貴重な教訓を得ました。今回の実験では、さらに多くの有益な情報を得ることができ、今後のプロジェクトの指針になると考えています」とコメントしています。

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in ハードウェア,   サイエンス,   動画, Posted by log1i_yk

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