メモ

チェックリスト作成のためのチェックリスト


少しのミスが重大な事故や損失につながりうるプロジェクトを行う際には、何をどの順ですべきかという「チェックリスト」を作成すると手順の抜けや間違いを減らすことができます。しかし、ただチェックリストに従うだけではうまく機能しないこともあるため、チェックリストを作るための手順や注意点もかなり大事になってきます。世界保健機関(WHO)の研究者兼医師のアトゥール・ガワンデ氏の著書である「The Checklist Manifesto(アナタはなぜチェックリストを使わないのか?)」では、何か重要なプロジェクトを開始する前の「チェックリスト作成のためのチェックリスト」を見ることができます。

The Checklist Manifesto: How to Get Things Right by Atul Gawande(2011-01-04) | Atul Gawande | Amazon


アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】 | アトゥール ガワンデ, 吉田 竜 | Amazon



Checklist for Checklists - Project Check
http://web.archive.org/web/20160107010925/http://www.projectcheck.org/checklist-for-checklists.html

多くの命を救う医療の現場では、手術前に患者へ確認すべき事項から手術後の点検まで、細部にわたって注意が必要です。WHOは2008年に「手術安全チェックリスト」を公表して世界中の病院で導入するよう求めました。WHOの試験では、チェックリストに従うことで感染症などのリスクが3分の1に減少し、死亡率はほぼ半減したという効果が見られましたが、ガワンデ氏が行った調査報告では、WHOの試験におけるデータの計測方法に不備があったことが指摘されました。ガワンデ氏はチェックリストの有用性自体は支持しつつ、「チェックリストは適切に機能します。ただし、適切に運用されている場合に限ります」と述べました。

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by dolgachov

ベストセラーになったガワンデ氏の書籍「The Checklist Manifesto」では、ジャーナリストでもあるガワンデ氏が医師のほかにも投資家や航空機・建築の専門家など、さまざまな大きなプロジェクトに携わる人に話を聞き、プロジェクトの運用と実行のメソッドについてまとめた上で、それを医療の現場に生かす方法を検討しています。その書籍の末尾に付録として掲載されているのが、ガワンデ氏がアメリカの航空会社であるボーイングのダン・ブアマン氏と協力して「チェックリストが害にならず役立つように設計する」ことを目的としたチェックリスト作成プロセス「Checklist for Checklists(チェックリストのためのチェックリスト)」です。「Checklist for Checklists」は、医療に関するチェックリストにアクセスできるサイト「Project Check」に掲載され、現在はProject Checkのページごとアクセスできなくなっていますが、インターネット・アーカイブから閲覧することができます。


Checklist for Checklistsは、「Development(開発)」「Drafting(原案の作成)」「Validation(検証)」の3段階のプロセスに分かれています。まず「Development(開発)」の段階では、チェックリストを作成してそれに目を通すこと自体が目的となってしまわないように、「そもそもチェックリストが必要なプロジェクトか?」などが問われています。チェックリストの準備段階でChecklist for Checklistsを確認することで、チェックリストの目的を明確にし、チェックリストがないと何かを見逃して危険を生じる可能性があるのか、他の仕組みではなくチェックリストが適しているかといった事項のほか、チェックリストがプロジェクトのチーム全員によって作成され、確実に全員に理解される体勢になっているかなどを確かめることができます。


次に「Drafting(原案の作成)」では、実際にチェックリストを作成していくにあたっての注意事項をチェックしていきます。効果的なチェックリスト作成のためには、まず「チェックリストを確認しながら作業ができるか」という点が重要です。そのため、ワークフローに「チェックリストを確認するための時間」をとれる自然な切れ目を入れていることが必要不可欠です。その他、リストを確認した時にさっと理解できるような文章、言葉選び、論理展開、カラー、フォント、文字の大きさ、背景と文字の明るさなどが注意点として挙げられています。フォントは装飾のないSans-serif(ゴシック体)が推奨されているほか、色の使用は最小限に抑えるようチェック項目で指示されています。原案を作成したら、チェックリストを作成した作成日または改訂日が明記されているかも欠かさず確認します。


三つ目の「Validation(検証)」の段階では、「チェックリストをプロジェクトの管理者等ではなく、実際に現場で活動する人にテストさせたか?」「繰り返しテストした結果、チェックリストを修正したか?」というチェックリストの質を向上させるプロセスを示しています。また、完成したチェックリストは実際の作業の流れに合っているか、作業中の修正可能な時点で作業内のミスを発見できるようになっているか、チェックリストが机上の空論にならず合理的に短時間で完了できるかどうかなど、より実践的な面でのチェックも含まれています。そして最後に、今後のチェックリストの見直し、改訂の計画を立てることも推奨しています。


Checklist for Checklistsには「チェックリストは教材やアルゴリズムではありません」と注意書きがしてあり、正しいルールおよび注意点に従って、それぞれ独自のチェックリストを作成することの重要性を説いています。

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in メモ, Posted by log1e_dh

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