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構造的に上昇したインフレと金融抑圧が15年から20年続くと経済学者が警告


高止まりするインフレの影響を受け、中央銀行は金利引き上げなどを行い対応措置をとり始めています。インフレの悪循環をかねてから警告していたという経済学者のラッセル・ネイピア氏は、「構造的に上昇したインフレと金融抑圧が15年から20年続く」と主張し、投資家が新しい世界にどのように備える必要があるかについて、見解を共有しています。

Russell Napier: The world will experience a capex boom
https://themarket.ch/interview/russell-napier-the-world-will-experience-a-capex-boom-ld.7606

ネイピア氏は「過去40年間、私たちは経済が自由市場に導かれているという考えに慣れ親しんできました。しかし、私たちは今、資源配分の大部分を市場に委ねないシステムへと移行しつつあるのです。指令経済やマルクス主義の話ではなく、政府が資本の配分に大きな役割を果たす経済のことです。これは1939年から1979年まで優勢だったシステムであり、何も新しいことではありません」と指摘しています。


このような変化が起こった主な理由は、単純に負債レベルが単純に高くなりすぎたからだとのこと。アメリカの民間と公共部門の負債総額はGDPの290%に達しているほか、フランスでは371%、日本を含む他の多くの西欧諸国では250%を超えています。2008年の大不況と比べると、この債務水準はあまりにも高すぎるとネイピア氏は指摘します。

リーマン・ショックが発生した2008年当時、世界経済はデフレによる債務の清算の危機に瀕しており、システム全体が崩壊する危険性がありました。それに対応するために民間・公的債務の対GDP比を下げなければならなかったのですが、その最も簡単な方法は、名目GDPの成長率を上げることでした。この手法は第二次世界大戦後の数十年間にわたり使用されてきたそうです。

しかし、2022年時点で再びシステム崩壊の危機が訪れようとしています。その原因について、ネイピア氏は「貨幣の創造をコントロールする力が中央銀行から政府に移ったのが理由だと考えています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)危機の際に銀行の信用に対して国家保証を行ったことで、政府は事実上、貨幣の創造をコントロールするレバーを引き継いだのです。さらに拍車をかけたのがウクライナ・ロシア戦争です」と指摘。パンデミックに対処するための一時的な緊急措置に過ぎなかった政策ですが、戦争が重なったためにエネルギー危機という別の緊急事態も発生しつつあると主張しました。

緊急事態が重なったことで政府はこうした政策から撤退することができずにいます。2020年2月以降のEU圏内の企業への銀行融資の統計をあげると、ドイツでは新規融資のうち40%が政府保証債であり、フランスでは新規融資の70%、イタリアでは100%を超えています。


政府が銀行に保証付き融資を行う方法と場所を指示し、信用保証を増加することで、エネルギーや不平等解消のためのプロジェクト、気候変動対策のための一般投資など、望むところに投資を誘導することができるとネイピア氏は指摘。信用保証の増加、つまり貨幣の増加を導くことで、政府は経済の名目成長をコントロールすることができるとネイピア氏は述べています。

「このように構造的に高いインフレ率で名目GDPを成長させることは、高水準の債務を解消する方法として証明されています。第二次世界大戦後、アメリカやイギリスを含む多くの国がまさにこの方法で債務を解消したのです。もちろん、誰も公式には言いませんし、ほとんどの政治家も気づいていないでしょうが、インフレ率を高めて名目成長を押し上げることがここでは望ましい結果なのです。多くの欧米諸国では、総債務残高の対GDP比が第二次世界大戦後でさえかなり高くなっていることを忘れてはなりません」とネイピア氏は主張。

大幅な成長減速、さらには景気後退に向かっているにもかかわらず、銀行の信用がまだ拡大しているのを見たときに上記理論を確信したとネイピア氏は話し、「政府保証を信じている銀行であれば融資を続け、名目GDPは成長し続けます。名目上、経済が縮小することはないのです」と述べました。


また、不況下にもかかわらず物価の上昇が起きる「スタグフレーション」が発生するのではないかという指摘もなされています。オイルが発生した1970年代の世界恐慌時代に見られたスタグフレーションと同種のものではないかという指摘に対し、ネイピア氏は「まったくナンセンスです」と一蹴。「スタグフレーションとは高インフレと高失業率の組み合わせのことです。現在の失業率は記録的な低さであるため、そのようなことはありません」と述べました。

1970年代のようなインフレ発生するのではないかという指摘に対しては、資産管理・投資・金融市場についての本を執筆したベン・カールソン氏も「スタグフレーションは連邦準備理事会が最も懸念するものでありますが、当局は1970年代の動向を深く研究して過ちを繰り返さないようにしています。原油価格の上昇も当時とはほど遠いほどに緩やかで、家計に占めるエネルギーの割合もはるかに低いものです」と述べ、1970年代のようなインフレが繰り返される可能性は低いと論じました。

Why Today’s Inflation is Not a Repeat of the 1970s
https://awealthofcommonsense.com/2022/11/why-todays-inflation-is-not-a-repeat-of-the-1970s/

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in Posted by log1p_kr

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