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元Oculus最高技術責任者のジョン・カーマック氏が「戦いにもう疲れた」と言葉を残してMetaを辞任

by Official GDC

DOOM」「Quake」などのFPSゲームの開発で知られるid Softwareの共同設立者で、Oculus(現MetaのVR部門)の最高技術責任者としても知られるジョン・カーマック氏がMetaを退職することを社内フォーラムへのメッセージとFacebookへの投稿で明らかにしました。

John Carmack - I resigned from my position as an executive... | Facebook
https://www.facebook.com/100006735798590/posts/i-resigned-from-my-position-as-an-executive-consultant-for-vr-with-meta-my-inter/3467566940144465/

Virtual Reality Pioneer John Carmack Is Leaving Meta - The New York Times
https://www.nytimes.com/2022/12/16/technology/virtual-reality-pioneer-is-leaving-meta.html

Oculusは2012年にパルマー・ラッキー氏らがPC向けVRデバイスの「Oculus Rift」を開発するために設立した企業です。Oculusはその後、約20億ドル(当時のレートで約2000億円)でFacebook(現Meta)に買収されました。Facebook傘下となった後は一般消費者向けにVRプラットフォームの「Oculus」とOculus GoOculus QuestなどのVRデバイスを発表し、OculusはVR市場のシェアを大きく占めています。

メインプログラマーとして「Wolfenstein 3D」「DOOM」「Quake」の開発に携わっていたカーマック氏は、id Softwareの共同設立者として知られていましたが、2013年8月にid Softwareを退職した後、Oculus VRに最高技術責任者(CTO)として迎えられました。カーマック氏がid Softwareを退職してOculusに就職したのは「id Softwareの親会社であるZenimax MediaがOculusとの提携を拒んだため」で、この騒動がきっかけとなって起こった裁判に負けたFacebookはZenimaxに約500億円以上の賠償金を支払うこととなりました。

VRヘッドセット「Oculus」の技術盗用を巡る裁判でFacebookが約566億円を支払うことに - GIGAZINE


2021年10月にFacebookが「Meta」に改名したことで、Oculusは子会社ではなくMetaのVR部門という扱いになりましたが、カーマック氏はMeta VR部門の顧問CTO兼エグゼクティブアドバイザーという形で在職し続けます。

しかし、Metaがメタバースへの積極的な投資と取り組みを発表してから、カーマック氏はMetaの姿勢に対して批判的な意見を述べることがよくありました。


2022年10月に行われたMetaのイベント・Meta Connectの基調講演では、カーマック氏はアバター姿でメタバース空間の何もない部屋に現れ、「これはここにあります。これは私が意図したものではありません」とコメント。さらに「メタバースへの最もわかりやすい道筋は、Robloxのような単一のユニバーサルアプリを手に入れることです。しかし、単一のアプリケーションがすべてを受け止めるようなレベルに到達することはないでしょう。私は一人のプレイヤーが、あるいは一社が、正しい決定を下すとは思えないのです」と述べ、メタバースを推進しようとするMetaに懐疑的な姿勢を示しました。

なお、カーマック氏は社内フォーラムへのメッセージで、スタンドアローン型VRデバイスのOculus Quest 2について「このハードウェアは私が最初から見たかったものとほとんど同じです」と称賛する一方で、「ソフトウェアについてはまだ未完成です」と評価しています。

また、2022年8月に行われたインタビューでは、毎月10億ドル(約1400億円)をVRへの取り組みにつぎ込んでいるMetaについて、「胃がムカムカします。Metaのメタバースへの取り組みは官僚主義によって妨げられ、多様性とプライバシーに関する懸念に悩まされてきました」と語っていました。

John Carmack: Doom, Quake, VR, AGI, Programming, Video Games, and Rockets | Lex Fridman Podcast #309 - YouTube


公式フォーラムへのメッセージの中で、カーマック氏は「Metaは(メタバースに)途方もない量の人材と資源を費やしていますが、その効果は半分も出ていませんでした」と述べています。また、「私にとっては苦難の連続でした。私はMetaのVR部門で最高レベルの権力を持っているので、物事を動かすことができるはずだと思っていましたが、MetaのVRへの取り組みをより良い方向に変えるために必要な発言力を持っていないようです。不満に思っていることのかなりの部分は、1年や2年経って実績が積み重なれば、いずれは自分の思うようになるのですが、損害を出す前にバカなことをつぶしたり、方向性を示して実際にチームがそれを維持するようにしたりすることは、これまで一度もできていません。縁の下の力持ち的な存在ではあったと思いますが、原動力となるような存在にはなれませんでした」とコメントしています。

また、カーマック氏は「愚痴はもういいでしょう。私は戦いに疲れ、自分のスタートアップを経営することになりましたが、戦いにはまだ勝てます! VRは世界中の多くの人に価値をもたらし得るもので、それを実現するのに適した企業でMeta以上のものはありません。たぶん今のやり方で突っ走るだけでもできるかもしれませんが、改善の余地はたくさんあります」と述べています。

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in メモ,   ハードウェア,   ゲーム, Posted by log1i_yk

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