ドライバーすら不要で簡単にバラバラ分解可能なDellのノートPC「Luna」

2021年、Dellはパーツを簡単にバラバラに分解することができるノートPCのコンセプトとして「Luna」を発表しました。Lunaは故障したパーツを簡単に交換することができるというノートPCで、パーツの交換＆再利用を推進することで、新たな資源の使用量を削減し、製品全体のカーボンフットプリントを削減することを目指したものです。このLunaの新しいプロトタイプがメディア向けにお披露目され、ドライバーすら不要でさらに細かくバラバラ分解できるよう進化していることが明らかになっています。

Dell concept laptop has pop-out components, disassembles screwdriver-free | Ars Technica
https://arstechnica.com/gadgets/2022/12/dell-concept-laptop-has-pop-out-components-disassembles-screwdriver-free/

最新版のLunaに実際に触れる機会を得たという海外メディアのArs Technicaは、「Lunaの見た目はDellのXPS 13 Plusのようで、サイズはLatitudeに似たもの」と表現しています。全体的に2021年に公開された最初のプロトタイプと似ているとしながら、最新版ではわずか60秒未満で内部パーツへアクセスできるようになっているとして、分解がさらに容易になっている点が特徴であるとしています。

Lunaの最初のプロトタイプには4本のネジがありましたが、最新版ではネジが1本もありません。分解するには端末の右側面にあるセキュリティロックスロットにピンを挿すだけ。なお、セキュリティスロットに挿すのは専用のピンでなくても形が似たものなら何でもOKとのこと。

セキュリティスロットにピンを挿すとキーボード上部のプレートが取り外し可能となり、これを取り外したのちにキーボードを上下にスライドすることで端末内部にアクセスできるようになります。内部にはスピーカー・ファン・マザーボード・バッテリーがあり、これらは簡単に取り外し可能だそうです。最新版のLunaではバッテリーを接続するケーブルが取り外されていたため、Lunaの内部にはコンポーネントを固定するための接着剤やケーブル、その他のコネクタは一切存在しなかったとのこと。

さらに、筐体内部のキーボード下部周辺にあるスロットにピンを挿入することで、液晶ディスプレイも簡単に取り外し可能となっています。

2021年に公開されたLunaのコンセプト動画が以下。キーボード上部のプレートと液晶ディスプレイがそれぞれ2本のネジで固定されており、これが最新版ではセキュリティスロットに切り替わっているというわけ。

Concept Luna: a vision for sustainable PC design - YouTube

Dellが作成中のLunaは記事作成時点ではあくまでコンセプトに過ぎないため、製品化の予定については完全に未定です。ただし、ユーザーの手で簡単にバラバラに分解してパーツを交換できるノートPCとしては、既にハードウェアスタートアップのFrameworkから「Framework Laptop」が販売されています。Framework Laptopはファームウェアまで自作可能となっており、Chromebook版も存在します。

パーツの交換・修理が簡単に行えるモジュール交換式ノートPC「Framework Laptop」が登場 - GIGAZINE

Frameworkは2020年に登場してから、市場で着々とその地位を広めています。一方で、Dellが目指しているのはモジュラーノートPCのリリースではなく、既に販売しているノートPCのパーツを再利用できるようにすることであるとArs Technicaは指摘。ただし、Lunaは耐久性を他のノートPCと比較するテストを実施中で、まだまだ実用化に向けてクリアしなければいけない課題が複数残っている模様。また、Lunaが製品化に成功した際、Dellはどのようにして顧客から部品を回収したり、中古部品を使用した端末をどういった製品形態で販売するか(中古品あるいはリファービッシュ品など)についてもまだまだ課題は残っているとArs Technicaは指摘しています。