AIを駆使して開発者のコード作成を支援していたスタートアップ「Kite」が閉鎖しこれまでのコード全てをオープンソース化してGitHubに公開
AIを使ってPythonのコードを補完してくれるプログラミングサポートツール「Kite」を開発するスタートアップ・Kiteが、ツールの開発を中止してサポートを終了しました。さらにKiteは、これまで開発してきたコードをすべてオープンソース化し、GitHubで公開しています。
Kite is saying farewell - Code Faster with Kite
https://www.kite.com/blog/product/kite-is-saying-farewell/
Kite · GitHub
https://github.com/kiteco
I’m bummed that Kite isn’t continuing. It’s the time for these tools, and we are already seeing value… and it’s growing daily.
— Dion Almaer (@dalmaer) November 20, 2022
Very generous for them to open source everything.
???????????? This is a treasure trove! https://t.co/y60fQ8RUlW
Kiteの創設者であるアダム・スミス氏は「私たちは開発者向けの次世代体験を構築しましたが、2つの重要なポイントでビジネスは失敗に至りました」と述べています。
そのうちの1つは、AIによるプログラミング支援で市場に出るには10年以上早すぎて、技術がまだ仕上がっていなかったこと。KiteはAIでPythonによるプログラミングを支援するツールを開発しましたが、機械学習が十分に行われておらず、問題を解決できるほどの改善ができなかったそうです。Kiteは「GitHubがOpenAIと共同で構築しているGitHub Copilotを見ればわかると思いますが、多くの可能性を示しているものの、まだ道のりは長いです」と述べています。
最大の問題は「最先端のモデルがコードの構造を理解していなかったこと」だとスミス氏は述べています。もちろん改良を重ねてコード構造の認識精度は上がっていたそうですが、完全に解決するには1億ドル(約140億円)以上のコストがかかるかもしれないとのこと。
そしてスミス氏は、ビジネスが失敗に至った理由のもう1つが、自分たちの製品をマネタイズできなかったことだとしています。
Kiteは「開発チーム結成」「製品開発」「流通の手配」「マネタイズ」という順番でビジネスを展開しました。開発チームは世界トップクラスのエンジニアによって結成されましたが、製品開発はKiteの起業から5年が経過した2019年でした。
その後、ツールを公開すると、毎月のアクティブユーザーが50万人に到達。マーケティング費用はほぼ0だったとのことで、「流通の手配」についても非常にうまく実行できました。しかし、50万人のアクティブユーザーを獲得してもなお、ツールから収益を上げることができなかったとのこと。スミス氏は「50万人の開発者がお金を払ってまで私たちのツールを使おうとしなかったのです。私たちが見るに、開発者たちはツールにお金を払わないということです。ツールでコードを書く時間が18%短縮されても、十分な共感を得ることができませんでした」と語っています。
この問題を解決するため、Kiteはコード検索という新しい方向性を検討したとのこと。しかし、すでに起業から7年が経過したKiteには、日々の激務と負担からコード検索の機能を追求する体力がもはやなかったため、断念してしまったそうです。
スミス氏はこれまでKiteを支援してくれた投資家に向けて、「うまくいかなかったのは残念です。私たちは、世界のソフトウェア開発速度を劇的に加速させることができるというチャンスに賭けましたが、皆の努力にもかかわらず、その試みはうまくいきませんでした。私は、失敗から学び責任をとることは大切だと思っていますが、後悔することはないと思っています。結果論で過去の判断を覆すのは、あまりにも簡単なことです。そして、2014年にKiteを起業した時の私たちがほとんど何も知らなかったことを考えると、リスクを取った私たちの勇気を、愛を持って振り返ることしかできません。そのような勇気があるからこそ、私たちは急速に進歩する世界に生きているのです」とコメントしています。
また、ユーザーに対して「Kiteを含め新しいアイデアを熱狂的に受け入れていただいたことに感謝しています。皆さんの熱意が私たちの努力の原動力となり、皆さんのフィードバックが私たちの努力を方向付けました。数え切れないほどのメールやGitHubへの投稿、ライブでの会話を通じて、みなさんと一緒に仕事ができることを嬉しく思っています。開発者は、自分たちの技術やそれを発展させるものに対してとても誠実に情熱を注いでいます。この情熱は私たちの仕事から最も失われてしまったものの1つです」とコメントしています。
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