ネットサービス

SoundcloudやExpediaなど500以上の企業に聞いた「サービスのアクティベーション率を上げるための工夫」とは?


ウェブサービスを提供する時、登録したユーザー数だけではなく、実際にサービスを利用するアクティブユーザー数も重要になります。全ユーザーのうちでアクティブユーザーとなる割合である「アクティベーション率」を向上する方法について、投資家のレニー・ラチツキー氏が解説しています。

What is a good activation rate
https://www.lennysnewsletter.com/p/what-is-a-good-activation-rate

アクティベーション率とは、サービス登録フローを完了したユーザーのうち、アクティベーションマイルストーンを達成したユーザーの割合のこと。アクティベーションマイルストーンとは、ユーザーが利用するサービスの中で設定した目標です。例えば、ヘルス情報記録サービスだと「最初に食事と体重を記録する」、デザイン共有サイトでは「最初にデザインを公開して共有する」、音楽ストリーミングサイトでは「最初に曲の40%以上を聴く」などがアクティベーションマイルストーンに当たります。


ラチツキー氏は、アクティベーションマイルストーンを設定する際にやってしまいがちな失敗として、「アクティベーションマイルストーンの設定が早すぎたり遅すぎたりすること」「長期的な達成が予測不可能であること」「簡単に達成できないマイルストーン」「複雑すぎる操作」を挙げています。例えば「サービス登録を完了する」などのマイルストーンでは登録してからすぐ達成できてしまい、「サイトで3回購入する」など遅すぎるマイルストーンは達成するまでに時間がかかって新規ユーザーが離れてしまう可能性があります。

ラテツキー氏は「アクティベーションは新規ユーザーが定着して顧客になるための先行指標であり、長期顧客になるためのものではありません。アクティベーションとは運営側が顧客維持率を高めるためにできることであり、サービス登録や複数回の購入をアクティベーションと定義することは、アクティベーション指標の背後にある目的に反しています」と述べています。


アクティベーション率の実態に迫るため、ラテツキー氏は経営アドバイザーのユリー・タイメン氏と強力し、SoundcloudDuolingoExpediaなど500社以上の企業を対象に調査を行いました。

ラテツキー氏が調査した結果を製品タイプごとにまとめた表が以下。調査によれば、全体のアクティベーション率の平均値は34%で、中央値は25%だとのこと。Software as a Service(SaaS)だけの場合はアクティベーション率の平均値が36%、中央値が30%だそうです。

製品タイプごとのアクティベーション率50パーセンタイル60パーセンタイル80パーセンタイル
B2B エンタープライズSaaS33%40%65%
B3B 生産消費者SaaS25%30%46%
B2C フリーミニアム・サブスクリプション40%50%65%
B2C フリー・広告21%30%63%
B2C マーケットプレイス16%25%47%
B2B マーケットプレイス23%26%55%
eコマース15%18%20%
DTC サブスクリプション35%50%75%


また、調査対象の企業のうち約6%がアクティベーション達成目標に期限を設けていたとのこと。期限の中央値は10日で、最頻値は7日だったとのこと。

さらに、ラテツキー氏は各企業に「アクティベーション率の改善に成功した時にどういった変更が最も大きな影響を与えたか」と質問し、各企業から得られた以下の回答を8つに分類しています。

1:新規ユーザーのためにトップページの紛らわしいボタンを非表示にしたり、ユーザーが自力でサービスを使えるように誘導する「オンボーディング」のステップ数を削減したりするなど、ユーザーが最初に触れるUIやUXをシンプルにする
2:Facebook・Google・Appleなど複数の認証プロバイダーを追加したり、ユーザーが簡単に始められるテンプレートを作成したり、情報を自動で取得してユーザーによる情報取得の負担を軽減したりするなど、オンボーディングをスムーズにする。
3:ユーザーが登録した直後に使用方法を説明するムービーを紹介するメールを送ったり、新規ユーザー向けにパーソナライズされたプッシュ通知を送ったりするなど、自動メールの送信やフォローアップを行う
4:カスタマー サクセスの介入を通じて、ユーザーのオンボーディングと支援に関する教育を強化したり、よりよい入門ドキュメントを提供したり、オンボーディングのメッセージを見直したりするなど、サービスで提示する言葉を最適化する
5:登録できる人を限定したり、プロファイルに適合しない顧客をブロックしてパワーユーザーを狙ったりするなど、目標到達プロセスにおいてよりスマートなターゲティングを行う
6:営業チームを活用して顧客に電話をかけたり、1対1のコミュニケーションを行ったり、オンボーディングプロセスを完了していないユーザーに呼びかけを行ったりするなど、顧客へのリーチを行う
7:金銭的インセンティブを提供したり、初回予約割引を行ったり、送料を割り引いたりするなど、インセンティブを追加する
8:できるだけ早くユーザーをコンテンツカタログに登録したり、オンボーディングを刷新してユーザーがメリットを理解しやすくしたり、目標到達プロセスのできるだけ早い段階でコア製品の価値を示したりするなど、サービスの価値を早く表示する


その他にも、ユーザーの目的に応じたパーソナライズされた製品ツアーを行ったり、ユーザー プロファイルや興味に基づいて最初の製品エクスペリエンスをパーソナライズしたりするパーソナライゼーション、ユーザーのアクションを誘導するチェックリストの用意、「注目の講師陣」といったコピーなど社会的な信頼の利用、サプライズの追加、オンボーディング直後にユーザーをコミュニティに参加させる、インストール速度の向上、ムービーでのデモ、無料試用期間の変更、プロセスのゲーム化、緊迫感の演出などの方法があったそうです。

ラテツキー氏は「(マイルストーンを決定するには)新規ユーザーのライフサイクルの比較的早い段階で、長期のリテンションに強く関連付けられるマイルストーンを選び、ただ実行することです」と述べています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
ウェブサービスにおける「無料プラン」の落とし穴と正しい無料プランの設定方法とは? - GIGAZINE

ウェブサービスの請求でユーザーを意図的にだます「ダークパターン」とその回避方法 - GIGAZINE

SaaSのランディングページで絶対に避けるべき7つの間違い - GIGAZINE

SaaSで月間100万円の収益を達成するまでの実録はこんな感じ - GIGAZINE

月額課金のサブスクリプション方式の成否は「ユーザーの解約率」だけでは正しく評価できない - GIGAZINE

in ネットサービス, Posted by log1i_yk

You can read the machine translated English article here.