夢の中から眼球運動でモールス信号を現実世界に送る研究が進められている
「夢の中にいる人が現実世界にメッセージを送る」と聞くとそれこそ夢物語のように感じるかもしれませんが、見ている人が夢だと自覚している明晰夢の最中に、「眼球の動き」を利用してモールス信号を現実世界に送信するプロジェクトが在野の愛好家によって進められています。
2022-09-01 – Morse in LD | LSDBase
https://lsdbase.org/2022/09/01/morse-in-ld/
DREEMWORK Lets You Code Morse From Inside Your Dream | Hackaday
https://hackaday.com/2022/10/01/dreemwork-lets-you-code-morse-from-inside-your-dream/
明晰夢とは見ている本人が「夢だ」と自覚できる夢のことであり、見ている人は夢の状況を自分の思い通りに変化させることができるといわれています。自分の夢を思い通りにしたい人々にとって明晰夢は非常に魅力的であり、さまざまな研究者や在野の愛好家によって「明晰夢を見る方法」についての研究が進められています。
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2022年9月、そんな明晰夢愛好家がさまざまな記事を投稿しているブログ・LSDBaseに、Sebastiiiと名乗る人物が「明晰夢を見ている人の脳波を計測して眼球運動を検出することで、夢の中から送られたモールス信号を読み取る」というプロジェクトの最新成果について投稿しました。
Sebastiii氏が公開した脳波画像を見ると、脳波が大きく動いている部分が3カ所あります。この脳波は臨床レベルの睡眠ポリグラフ機能を持つヘッドギア型睡眠測定器・Dream 2またはDream 3を使用して測定されたものだそうです。
Sebastiii氏は明晰夢の中で「左を2回見る、右を1回見る、左を1回見る」という行動をすることで現実の肉体でも眼球運動を引き起こし、モールス信号の「F(・・-・/トントンツートン)」を送信しようとしました。脳波グラフでは下向きの波形が「左」、上向きの波形が「右」を表しており、左が「・(トン)」、右が「-(ツー)」に対応しているとのことで、最もわかりやすい部分を抽出して矢印を付けたものが以下。波形に細かい段差がなく真っすぐに突き出た部分が目を向けた方向だと考えると、確かに「左・左・右・左」の順に波形が動いているのが確認できます。
「明晰夢の中から眼球運動を使ってモールス信号を送信する」というアイデアは以前から存在しており、古くは2012年に「明晰夢の中でまばたきをして『・(トン)』と『-(ツー)』を送信する」という研究が発表されています。今回の目を向けた方向でモールス信号を送信するアイデアは、この2012年の研究にインスパイアされたものだとのこと。
2012年の研究を発表したMichael Paul Coder氏は、目を向けた方向でモールス信号を送信する方法はまばたきを利用するものより優れていると称賛。テクノロジー系メディアのHackadayは、「モールス信号を学ぶことに抵抗がない人なら、市販のヘッドバンドを使えば誰でもこの情報伝達方法を利用できます」「夢の中で起きたことはすぐ忘れてしまうかもしれませんが、この思いがけない方法はいいカウンターになるかもしれません」と述べました。
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