サイエンス

眠っている人とコミュニケーションを取ることに成功


「寝言に返事をするのはよくない」と言われていますが、そもそも眠っている人とは普通はコミュニケーションが成立しません。しかし、新たな研究で、眠っている人とコミュニケーションを取ることに成功したことが報告されています。

Real-time dialogue between experimenters and dreamers during REM sleep: Current Biology
https://doi.org/10.1016/j.cub.2021.01.026


Lucid dreamers can hear and answer questions while still asleep, scientists find | Live Science
https://www.livescience.com/real-time-communication-while-dreaming.html

研究を行ったのはイリノイ州ノースウエスタン大学の認知神経科学者カレン・コンコリー氏ら。研究成果は学術誌「Current Biology」に掲載されています。


コンコリー氏らは、人々は起きたあと夢の詳細を忘れてしまい正しく思い出せないため、夢についての研究がはかどっていないことから、なんとかして正確に夢の内容を知るべく、まだ夢を見ている最中、つまり眠っているあいだに情報を聞き出すことを考えました。

研究チームはアメリカ、ドイツ、フランス、オランダの4カ国のメンバーで構成されており、それぞれ異なる実験を行いました。

アメリカの実験は「レム睡眠中に口頭で数学の問題を出し、眼球の動きで答えてもらう」というもので、週に1度以上は夢の内容を覚えているという22人が参加。

ドイツの実験は「レム睡眠中に音と光で数学の問題を出し、眼球の動きで答えてもらう」というもので、過去に35回以上明晰夢を見ているという10人が参加。

フランスの実験は「はい/いいえで答えられる質問」や触覚、発話、光刺激を識別し、顔の筋肉の収縮で回答するというもので、ナルコレプシー(不眠症)で明晰夢をよく見るという1人が参加。

オランダの実験はアメリカと同様に口頭で数学の問題を出すもので、週に3回以上夢の内容を覚えていてうち1回以上は明晰夢だという3人が参加しました。

すべての実験において、参加者がレム睡眠の状態にあるかどうかは3人の専門家によるチェックが行われました。

その結果、4カ国の実験に参加した合計36人のうち6人で、正しい反応が得られました。内訳は、合計158回のテストのうち、正答が得られたのが29回(18.4%)。このほか、間違った応答が5回(3.2%)、あいまいな応答が28回(17.7%)で、最多だったのは「無反応」の96回(60.8%)でした。

コンコリー氏は、ニュースサイト・LiveScienceに対して「コミュニケーションできればいいなと思ってはいましたが、本当に反応があったときには信じられませんでした」と語っています。

実験の結果について、スウェーデン・シェーブデ大学のPilleriin Sikka氏は「夢の外から内側へ働きかけて、内側から反応が戻ってくるという双方向コミュニケーションは、まるでSFのようです」と語り、4つの独立したグループが実施したことについて、研究者の努力を認めつつ、反応が得られたのが6人だったことから、一般化してよい内容なのかについて疑問を示しました。

ハーバード大学医学部教授のロバート・スティックゴールド氏も「画期的な研究」であり「夢の研究に新たなエキサイティングな窓が設けられるものです」と評しましたが、「いかに現実に応用するか、もっと複雑な質問に答えてもらうかという点が明らかではない」とLiveScienceに語っています。

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in サイエンス, Posted by logc_nt

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